
今から10年くらい前までは大手の新聞でも知財に関する記事は誤った言葉を使っていることがあったと記憶しています。
しかし、最近は記者のレベルが上がり、大手新聞社の記事で知財関係者が読んでも首をかしげるような記事はほぼなくなったと思います。
とはいっても、大手新聞社以外、たとえば大衆向け週刊誌等だと、知財用語の誤用は今でも見かけます。
誤用があっても大きな問題が起こる心配はそれほどありませんが、新型コロナウィルス関係の報道だと問題が生じることがあるでしょう。
先日(4月1日)、アンジェス株式会社が、新型コロナウイルス感染症向けワクチン開発の特許出願に関する発表を行いました。
その際、知財用語の誤用ではないのですが、勘違いさせやすい言葉の使い方をされていました。
上記リンク先では、
発明の名称「コロナウイルス感染またはコロナウイルス感染に伴う症状の予防または治療ワクチン」を特許庁に出願した
とあります。
これは、「発明」という用語から、知財関係者ならば「ああ、特許出願をしたのね」と解釈しますが、知財関係者で無い場合には、「名称について出願したのか!?不謹慎な!」と勘違いする可能性があります。
事実、アンジェス株式会社には、「コロナウイルス感染またはコロナウイルス感染に伴う症状の予防または治療ワクチン」という名称を特許出願したのか?というお問合わせがあったようです。
これに対しアンジェス株式会社は、名称を特許出願したのではなく、
今回の特許出願には、物質特許(開発中のワクチン用DNA)とその物質を新型コロナウイルスの予防または治療に用いるという用途についての特許の形で出願しています。
と丁寧に説明をされています。
ベストライセンス株式会社の上田育弘氏がコロナ関係の用語を商標登録出願しているために、同氏と同じようなことをしているのだと勘違いされたのだと思いますが、報道発表の際には、報道を目にする一般の方への伝わり方も考慮しないとちょっとしたトラブルになりかねないなと思いました。