いくら叱ってもお片付けをしない、何度言っても勉強をしない、いつも同じ間違いを繰り返す・・・。
怒っても叱っても子供は親の小言を聞かずに自分の好き勝手なことばかりをしています。
親のストレスは溜まる一方でしょう。
そこで、「子供が言うことを聞かない」という問題を解決したいと思います。
今回はいつもの問題解決と違って、発明原理などを書きません。一般向けの文章を書いてみたいと思います。
まず最初に、何が問題なのかということについて考えたいと思います。
「子供が言うことを聞かない」ということに決まっているでしょう!と思われるかもしれませんが、待ってください。
本当にそれが問題ですか?
たとえば、子供が言うことを聞かないという一見問題に見えるようなことにもプラスの面があります。
つまり、「自分の意志を貫く。他人の意見に振り回されない」ということです。
往々にしてイノベーションを起こすような人物は凡人が「なぜあんなことを・・・」を思うようなことをやってのけます。
もしその人が他人の声に耳を傾けていて行動を抑制していたら偉業は成し遂げられなかったでしょう。
ですから、「子供が言うことを聞かない」ということにはプラスの側面もあることを忘れてはいけません。
では、何が本当の問題なのでしょうか。
少し掘り下げて定義してみましょう。
子供が言うことを聞かない ⇒ 親が望む行動をしてくれない ⇒ 親が望む結果が出ない ⇒ 結果が得られないので親のストレスがたまる ⇒ 親がイライラしてしまう
どうも、親の思うとおりにならないので親がストレスを溜めているだけのようです。
親は子供に「あなたのためよ」と言いつつ、自分のために怒っているのです。
「勉強しなさい!あなたのためよ!」は、以下のように翻訳できます。
「勉強しなさい!試験で悪い点数を取ったら私が塾に高いお金を払わなくてはいけなくなって、それでもあなたが勉強しなくて結果成績上がらなくて良い学校に行けなくて良い企業に就職出来なくて結婚も出来なかったら恥ずかしい思いをするのは私なんだから!」
子供のために、と見せかけているだけで親のエゴですね。
子供が勉強出来るのと勉強できないのでは、後者の方が親が「大変」でしょう。
子供が親のことをハイハイと何でも言うことを聞いてくれたほうが親はストレスは少ないでしょう。
しかし、代わりに子供の自発性というものは失われますし、子ども自身が人生を楽しめないかもしれません。
親が楽をするために子供自身が苦労することになります。
子供が自分で選んで苦労するなら良いでしょう。
しかし、親に言われて、命令されて苦労するのは、ただの拷問です。
そのツケは何年も(場合によっては何十年も)たってから現れます。
例えば、
●ティーンエイジャーになってからキレて親に暴力を振るう。
●本当に自分の好きなことがわからず、ただ親に反発したいという気持ちから不安定な職業についたり、本当にその人が好きかどうかはわからないけれど親への反発心から駆け落ち同然で親が認めていない人と結婚する。
●ストレス解消のために麻薬に手を出す。
といったことが考えられます。
小さなこどものうちにこれほどの反発が出来ないのは、力も行動力もないからだけです。
ある程度成長すれば、受けたストレスは何らかの力で押し返したり昇華しようとします。
化学反応と同じで当たり前のことです。
もし親から一方的に言われるだけでそれを受け入れることを良しとしているだけの子供だったら、それは人間の子供ではなくて、アンドロイドかもしれません。
従順に親に尽くすことだけを達成しようとする意志を持たないロボット。
自分の子供がそんなロボットになってしまうなんて嫌ですよね。
ですから、「子供が言うことを聞かない」という問題は、実は「子供が言うことを聞かないから親がイライラしてしまう」という問題だと言い換えることができます。
そして、親がイライラをなくすには、子供を自分の思い通りに動かそうとするのではなく、自分自身の考え方を変えたほうがずっと楽です。
子供は親の小言(命令)は聞きません。
それは実生活を通して知っているはずです。
ですから、命令で相手を変えようとするのではなく、自分が命令するのを止める方が効果的です。
ついイライラして怒りたくなるときもありますが、「叱っても無駄」「たとえ効果が出たように見えても一時的なもの」と知り、子どもと同じ目線で提案したり一緒に考える方が有効です。
あなたの子供は幼くてもバカではありません。あなたに命令されなくたって「やった方がいいこと」は分かっているのです。
それでもやらないのは「それを積極的にする理由」がないからです。
どうせお片づけしたってすぐ元に戻る。それなら出しっぱなしにしておけばいい。
お野菜を食べなくたって死にはしない。
お菓子は美味しいからたくさん食べたい。
子供の考えにも一理あるでしょう。
ですから、子供が小さいうちには子供への期待値を極限まで下げておいたほうがいいでしょう。
娘が小学校高学年になるまでは私は期待値を下げておくつもりです。
下手に期待をするからストレスがたまるのです。
最初から、この子は掃除をしない。野菜を食べてくれない。そう思っていれば予想に反してお片付けをしてくれたら嬉しくなるでしょう。
子供に命令をしても反感を持たれるだけです。
ですから、命令するのはやめて、子どもと同じ目線に立って、提案をしてみるのをお勧めします。
「◯◯しなさい」という命令には条件反射として反発したくなる力があります。
しかし、「◯◯したらどうかな?」「◯◯するのってどう思う?」
という提案には答えたくなります。
そして、自ら答えを出したら、その答えを裏付ける行動をしたくなります。
たとえば、「お部屋にお人形さんがたくさん転がっているけど、みんな寒そうにみえるね。どうしたら気持ちよくなるかな?」
と問いかけてみます。
すると、「おうち(おもちゃ箱)の中に帰る」といったように子供が答えを提案してくれます。
親がしてほしいのはおもちゃ箱にしまってもらうことなのに、「お布団をかけてあげる」という答えが提案されることもあります。
それはそれで正しい答えなので子供の答えを尊重します。
そして、「そっかー。この質問の仕方は不味かったわ。もうちょっと違う言い方しないと片さないわよね」と腹のなかで思案します(笑)。
このように子どもとのやり取りのなかで親自身も子供の心理を学べます。
そして、子供は本当に純粋で楽しいことに敏感で素直だということに改めて気づくことでしょう。親の言うことをただ無条件に受け入れるのは自然なことではないということに気づくでしょう。
子供のやることを批判したり見返りを求めると自分が苦しくなるだけです。
それよりは「子供の失敗は全て自分が受け止める」と考えて、自由気ままにさせてあげたほうが子供にも好かれますし気分が楽になります。
もちろん、友達を虐めるというように絶対に許されないこともありますので、そういう行為をしたときには厳しく叱ることが大事です。
真剣に叱れば、そのときは受け入れ難くても、時間がたてば納得してくれますから。
子供は直感力が優れているので、「あなたのために頑張っているのよ」という恩着せがましい態度はすぐにわかって無視しようとします。
ですから、公正に判断して、本当に良いと思ったことだけを伝えるようにすべきでしょう。
ここで注意したいのは、言うことがコロコロ変わるのは避ける、ということです。
気分屋は絶対に駄目です。仕事で疲れているから、とか生理中だからという言い訳もしてはいけません。
親がどんと構えていないと子供は何を信じて良いのかわからなくなり不安定になります。
頑固と言われても構いません。
親は自分が正しいと信じることを貫きましょう。
ただし、「私は正しく、お前は間違っている」という態度を取るのはやめましょう。
そんなことを言う人の話を聞きたい人なんていません。
子供の興味に合わせて話を出来るようになると、人心掌握術はかなりのものです。
子供は大人と違ってひねくれていません。
気持ち良いほどまっすぐに返してくれます。
子供はストレスを生む元かもしれませんが、実はストレスを解消して、気分をすっきりさせてくれる存在でもあります。
子供が言うことを聞かないからと苛々するのはやめて、子供のおかげで自分が成長できると考えれば、前向きに楽しい気分で子育てが出来るのではないでしょうか。