スタートアップは、人がいない・資金もない・知名度もない・・・の無い無い尽くしの状態です。
そのため、社長が自分で何もかもやることになりやすいのですが、人には得手不得手がありますし出来ることにも限度がありますので、どうしても限界があります。
「でも、人を雇うお金なんか無いよ・・・」
そんな声が聞こえて来そうですが、資金が無くたってビジネスを拡大する機会はあります。
たとえば、他のスタートアップとの業務提携です。
「業務提携」とは、資本の移転をさせずに事業者同士が共同で事業を行うことをいいます。
知財でよく行われる業務連携としては、両社の技術をライセンスしあうクロスライセンスや商標や意匠の使用許諾がありますが、知財に限らず、販路拡大・販売で役割分担を行い両社の強みを活かすものなど、業務提携には様々な種類があります。
業務提携のメリット・デメリット
業務提携のメリット
業務提携の大きなメリットとしては、自社にない知見やノウハウ、技術、アイデアなどを相手方から得られます。提携先が大手企業であれば、そのブランド力を利用させてもらうこともできます。
契約書を取り交わすだけですぐに業務提携出来るので、提携関係の解消も直ぐにできます。
業務提携のデメリット
大きなデメリットとして提供したノウハウや技術などが外部に流出する危険性が挙げられます。
契約書で縛ったとしても危険性をゼロに出来るわけではありません。
経営者同士の意見が違う場合には容易に「喧嘩」になってしまいます。
また、相手企業が引き起こしてしまったトラブルは自分のところにも飛び火してきます。
これは手痛いダメージとなるでしょう。
場合によっては一度傷つけられたブランドは二度と復活できません。
それくらいブランドイメージというものは重要です。
効果的な業務提携
お互いの会社にない強みで弱みを補い合うことが出来るとwin-winの関係となります。
たとえば、素晴らしい技術を有し、高品質の製品を作っている会社と世界中への販路を有している会社が手を組めば、win-winですよね。
それぞれ狭い分野で一番をとっている小さな会社が集まると、大企業に匹敵するほどの力を有することだって出来ます。
このようにスピード感を維持しつつ大きな仕事が出来るのは業務提携の大きなメリットです。
効果の薄い業務提携
企業規模が違いすぎるとトラブルの元となります。
特に大企業と組むと下に見られることが多いです。こちらの「大企業ブランドに乗っかりたい」という気持ちが伝わってしまうので余程の技術力等を有していない限り不平等な契約を結ばされてしまう可能性もあります。
多くの場合は大企業に有利に、つまりあなたに不利な契約になっています。
業務提携というものはどちらかが上というわけではないので、卑屈にならず、言うべきことは主張しましょう。
もちろん主張の仕方にもコツがいりますので無闇に自分の望みを述べればいいというわけでもありません。
「大企業から美味しそうな話が来ているのだけどこの条件で受けていいのだろうか・・・」と心配な方はご相談ください。
知財業界での業務提携
以上見てきたように、業務提携はそれぞれ違う強みを持った企業同士が力を合わせることですが、これはどのような業界にもあります。
私が属する知財業界だってそうです。
たとえば、特許に強い特許事務所(特許業務法人)と商標に強い特許事務所が業務提携すれば、特許にも商標にも強い特許事務所になりますよね。
老舗の大規模特許事務所にも引けを取らないでしょう。
もちろんお互いの利害関係によっては争いを生むことになるますので、安易に業務提携することはお勧めできません。
業務提携したけどすぐに提携解消しちゃったなんてことになったらクライアントにも迷惑です。
経営者同士の理念が一致しており同じ方向を向いて走っていける特許事務所同士なら業務連携は効果的でしょう。
なお、M&Aでは、成功例も聞いていますが、多くはM&Aに至る前に話題が立ち消えとなっているようです。