令和2年度弁理士試験統計を見ての感想【受験者数減の理由】

特許庁より令和2年度弁理士試験統計の発表がありました。

受験者数は3401名(昨年度は3862名)です。

15年前は受験者数は1万人いました。しかし、その頃をピークに弁理士試験受験者数は右肩下がりに下がり続け、今年はとうとう3500人を切りました。
次回は3000人ジャストくらいですかね・・・。そして、単純計算すると8年後には受験者数が0になっています。

なぜこれほど弁理士試験受験者数が減ってしまったのかというと、特許事務所の「外から見た姿と内部の姿が違う」からではないかと考えています。
外から見ると、最新の技術を扱うので時代の最先端を行っている雰囲気があります。
また、知財を取り扱っていることから、短時間で大きな成果を出す知的な労働というイメージがあります。

ところが、中にいるのは人間なので、簡単には意識改革出来ませんし、基本的には売り上げベースの労働集約型の仕事です。

また、改革を嫌い、新しい取り組みをしようとする人を排除しようとする排他的な空気では、若い人が飛び込もうと思わないでしょう。
20代の人たちに夢を持ってもらい特許業界で働きたいと思ってもらうには、多様性を認めるおおらかさ改革する勇気が必要だと思います。
(実際に同じ特許事務所内で改革派と既得権益維持派が対立しているということはあります。
弁理士にさえなれば年収2〜3千万円が当たり前だった頃の弁理士が既得権益を守りたい気持ちはわかりますし、それではいけない。弁理士はサービス業であるとして改革を進める改革派の気持ちもわかります。
そして、たとえ痛みを伴うことになっても、後者にならなければいけないでしょう)

なお、令和3年に特許法等の一部を改正する法律案が出されましたが、農林水産関連の知的財産権(植物の新品種・地理的表示)に関する相談等の業務について、弁理士を名乗って行うことができる業務として追加するとともに、法人名称の変更や一人法人制度の導入といった措置を講じることになりました。
これにより、弁理士に魅力を感じてくれる人が増えてくれることもあると思います。

あ、ちなみに良い事務所はたくさんありますのでご心配なさらないでください。
知的財産を扱うだけあって知的な方がたくさんいらっしゃる業界ですよ。

良い事務所を教えてよという方はお問い合わせください。
また、良い事務所をご存じの方はどうぞご推薦ください。