令和2年度の弁理士試験論文式試験特許法の問題は、抗ウィルス薬とかフィルターの発明等、コロナを意識したトレンドに沿った良問ですね(違)
特許法についてまず感じたのが、「条文をしっかりと理解していれば解ける問題ばかりだ」ということです。
昔よくあった「論ぜよ」問題は影を潜めましたね。
ということは、誰もが書いてくることを外してしまったら超危険ということでもあります。
受験生の方たちから再現答案をいただいたので見てみたのですが、基本を書かずに一部について深すぎる知識を披露したり時系列を間違えた人は今年の合格は難しそうです。
だって、みんな基本的なことは書いてくるから、「どれだけ基本を漏れなく確実に書けるか」が重要だからです。
上級者でも焦ると読み間違いをしてしまうので、問題を読んでいるうちに気をつけねばと思ったところには丸を付けて答案に反映してください。
さて、ここからは具体的に見ていきたいと思います。
【問題Ⅰ】については特に難しいところは無いので、上記のような間違いをすると致命傷になってしまいます。特許法は受験生みんなのレベルが高いので、他の受験生が書けることは書けるようにしておきましょう。
無理に冒険する必要はありません。
すごいところを見せてやろうと欲を見せると撃沈します。
ありがちなのは、実務に詳しい人が「新規性喪失の例外」について持論を書いてしまうというパターンです。
そんな知識披露しなくていいから!!
条文の忠実に書けばそれでOK!
むしろ、「海外では日本とは法制度が異なり新規性喪失の例外は」うんぬんかんぬんと書いた時点で「来年お越しください」となります。(上記リンク先は過去記事。他国と日本の制度の違いを書いています。繰り返しますが、こんなこと書いたら即落ちます。)
【問題Ⅱ】については消尽と間接侵害の問題が出ていますね。今年のゼミでもやりました。出そうだと思ったから。
でもこれ、今年出題されないでほしかったです。来年が良かった!
なぜかというと、先月面白い事件があったんですね。
エコリカというリサイクルインクカートリッジの会社がキャノンを訴えているという事件です。
え、キャノンじゃなくてリサイクル業者がキャノンを訴えているの??と思ってしまうような変な事件なので結論が気になります。
私も自分の見解を書いています。エコリカ⇒キャノン損害賠償請求訴訟
当然こんな独自の見解は弁理士試験では求められていません。
弁理士試験論文試験に受かるコツは「条文と判例の理解を適切に示す」ことだけです。
「〜と思われる」なんて書いてはいけません(しつこいですが)。
逆に言うと、どこかで聞いたことのある説をそのままアウトプットすればいいだけなので楽です。
そう。弁理士試験でよくいわれる「素直な人」とは、性格が良い人という意味ではなく、「言われたことに疑問を挟まずそのままアウトプット出来る人」という意味なのです。
こういう人から受かっていきますよ!
なお、「自分の勉強方法がこれで合っているのかわからない」等不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
それだけで合格を早めることが出来るかもしれませんよ!