昨日、著作権協会国際連合(CISAC)が会見を開き、「追及権」を導入するよう政府に求めたというニュースを読みました。

(なお、朝日新聞によるこの記事には「国内では作者の死後も50年は著作権が維持される。」と書かれていますが、これは絵画に限らず、あらゆる著作物の著作権に共通することです)

私は、「追求権」の考え方には大いに賛同します。

だって、ゴッホやミレーみたいに、「偉大な画家」が「清貧」を貫く、なんて話、直感的におかしいと思ってしまいますし、素晴らしい創作をした人は、生きているうちに恩恵を受けるべきですよね。

 

ですから、一点ものの美術作品(書道や彫刻、絵画など)を創作しているアーティストも、印税やダウンロードによる収入を得られるアーティストたちと同じように不労所得を得られる機会を増やすべきです。

 

しかし、導入となると、問題があります。

 

たとえば、追求権のある国で作品を販売すると著作者への支払いが必要になることから、それを避けるために追求権のない国で作品を売買しようと考える人が現れた場合、追求権は意味のないものとなります。

 

また、どのように著作権料を徴収するのでしょうか。徴収方法にも問題があります。

 

文化庁も、「取引の現状を把握できておらず、売買関係者の理解を得るのも難しい」ことを理由に及び腰です。

 

このように、問題だらけで追求権が実際に著作権法に盛り込まれることになるにはまだまだ時間がかかると思いますが、「生前に報われない作家」を生み出さないためにも、追求権、または追求権に変わる制度の創設が望まれるでしょう。

 

ちなみに、JASPAR(日本美術著作権協会)の小川明子理事による著書「文化のための追及権 日本人の知らない著作権 (集英社新書)」[PR]
が追求権について詳しく書かれているのでお勧めです。