SAPIXに関わる事件というと、模試をネットオークションで購入した夫婦が大量に複製し販売したとされる著作権侵害事件(月に30万近くの収入だったとか。濡れ手で粟の楽なおシゴトですね〜)や、SAPIXの標章と紛らわしい表示をウェブサイトに表示した学習塾経営者による不正競争防止法違反などがありますが、私が最も面白いなと思うのは、サピックスの模試を勝手に他の塾の講師が解説したために著作権侵害であると訴訟提起した令和元年度東京地判サピックスオープン事件(リンク先は裁判所ウェブサイト)です。
何が面白いかというと、事件の概要を聞く限り著作権侵害とは思えないのに著作権侵害であるとして訴訟を提起しているところです。
この事件では、被告(株式会社受験ドクター)はサピックスの生徒から模試の原本を入手し公開模試終了の1時間後にインターネット上の動画で模試の問題についての解説を行っています。
そこで原告(SAPIX。株式会社日本入試センター)は被告が問題と解説を複製して利用したとして複製権侵害、翻案権侵害を主張して動画配信の差し止めを求めています。
裁判では、被告はSAPIXの問題の一部または全部を公開または読み上げもしていないから、被告による動画解説は本件問題の本質的な特徴の同一性を維持しているということはできず、動画解説に接する者が本件問題の素材の選択又は配列に係る本質的な特徴を直接感得することができるということはできないとされました。
妥当な判断だと思います。