*これも旧ブログの2年前の記事です。
下町ロケットの帝国重工の社長はジャイアンです。
「佃のような零細企業の技術は俺のもの。中小企業のノウハウも俺のもの。俺のものは俺のもの」という論理で成り立っているからです。
さて、このようなジャイアンに対抗するためにのび太はどうすればよいのでしょうか。
「ドラえもんに助けてもらう」
良い答えです。
しかし、残念ながら、通常はドラえもん(神谷弁護士)に出会える確率は低いと思います。奥さんと離婚して弁護士を紹介してもらわない限り・・・(ジョークです)。
では、どうすればいいのでしょう?
「ドラえもんがいなくても大丈夫なように、自分の力で頑張る」
素晴らしい答えです。さすがのび太君です。
でも、ドラえもんがいなくても大丈夫なようにのび太が出来ることって何でしょう?
ここで、下町ロケット第三話を思い出してみたいと思います。
下町ロケット第三話では、佃製作所を訪れた帝国重工の財前部長が佃の技術を目の当たりにし、驚いています。
こんなことはフィクションだからであって、実際にはありえないのでしょうか。
いいえ、あり得ます。
事実、日本には大企業より優れた技術を持っている中小企業がたくさん存在しています。
財前部長のお父さんの会社みたいな会社ではありませんよ。佃製作所みたいな会社です。
でも、優れた技術を持っているだけでは残念ながらマネタイズ出来ません。
実際、優れた技術を持っていながら、その技術をきちんと守らなかったために、大企業に技術をまるごと盗まれてしまうというケースは山程あります。
新しいラジコンはそのままではジャイアンに奪われてしまいます。
そう、「素晴らしい技術を開発」しただけでは、意味がないのです。
その技術を知的財産権でしっかり守り固めないといけないのです。
特に特許出願もしないうちに仕事が欲しいからといって開発途中の技術などを見せてしまうと大企業に大切な技術もノウハウも盗まれてしまいます。
佃製作所はナカシマに訴えられたときに技術者たちだけで慌てています。
神谷弁護士のように知財に詳しい人に助けて貰えなかったらいきなりTHE ENDでした。
佃製作所は技術力が高かっただけではなく、その技術を特許権という知財で守っていたから大企業である帝国重工と対等に渡りあえました。
通常なら、町工場のような中小企業など大企業に技術だけ奪われて潰されてしまいます。
こう考えると、特許権は中小企業を守り、また武器ともなる強力な力を秘めています。
(本来ならば佃航平本人ではなく、外部の弁理士などに明細書に作成を依頼すべきだったでしょう。更に強力な権利になる可能性がありますから。)
中小企業は、重要な技術については必ず特許出願をすべきです。
そうしなければ、帝国重工のような大企業に技術もノウハウも根こそぎ持って行かれます。後にはぺんぺん草も生えません。大企業の社長の顔に草は生えるでしょうが。
そういうわけで、のび太がジャイアンに対抗する方法は、
「知的財産権を取得する」です。
または「ノウハウをきちんと管理して情報が流出しないようにする」です。
佃製作所は自社で研究開発し、自社で製造販売するという昔ながらの町工場ですが、知財(特許権)を活用すれば、研究開発だけでものづくりをする必要はなくなります。
ものづくりを無くし、研究開発に特化することのメリットは「他社技術を使わないので特許権侵害で訴えられることがない」ということです。
また、製造設備も必要ありません。
営業も広範囲の営業は必要なくなります。
ライセンスビジネスの可能性を考えるとビジネスがぐんと広がります。
パテントトロールと違うのは「ちゃんと自社で研究開発をしている」ということです。
そういえば、先月、ウイスコンシン大学がアップル相手に特許権侵害訴訟を起こし2億ドル超を得ましたね。
大学などは正にものづくりを行わずに研究開発に特化した良い例です。
日本円にして280億円ほどの損害賠償金といいますからすごいですよね。
まあアメリカだからこの額なのであって日本だと10分の1も無理でしょうが。
中小企業は大学と組むのも良いですね。産学連携にもいろいろ問題はありますが、お互いが気持よく仕事に励めるように話し合って協力したいものです。
なお、のび太にとって大企業であるジャイアンは「敵」ではありません。
パートナーです。
ただジャイアンを打ち負かすだけではそれで終わりですが、ビジネスに広がりを持つためにも、敵を作らずに協力しあって仕事を行えるとドラえもんも安心して未来に帰れるでしょう。