*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。

 

上田育弘氏は商標の出願手数料を支払わずに大量出願をし特許庁を困らせていることで有名な人ですが、ここ最近別の「面白い」商標登録出願をする人が話題になっています。

 

まず、一人目が曽根利仁氏。

 

曽根利仁氏は埼玉県に在住の発明家です。

弁理士を通さず自ら明細書を書き大量の特許出願をしています。

そのうち特許権の設定登録を受けたものも複数存在します。

 

曽根利仁氏の場合、面白いのは特許出願よりも商標登録出願の方です。

 

6年くらい前に電子通信機械器具や電子出版物等に関して「みんなの社会貢献」という商標登録出願をして商標登録を受けているのですが、2012年頃になると、指定役務「特許権の管理や著作権の管理」などについて「’6293泰山の石段の数に因んで生を受けた仁」という謎の商標登録出願を始めます。

 

そして、2015年になると同じく私的役務「特許権の管理」などについて「win 1billion yen」という商標登録出願をします(この記事を書いている2016年1月現在ではまだ商標登録はされていません)。

 

そして、この商標登録出願の数日後、今度は「特許制度に関する情報提供(成り済まし犯を捕まえる)」について「印鑑変更届に旧印鑑を押す必要が無い杜撰な運用の改善を願います」という商標登録出願をします。

カッコ書きの成り済まし犯を捕まえるという文言も商標も不気味です。

 

さらにそれから数日後、今度は「私は成り済まし犯を捕まえなければ枕を高くして眠れません」という商標登録出願をします。

 

どうやら、曽根氏は、何者かに自己の特許出願を成り済ましにより取り下げられてしまったようで、それをこのような形で訴えているようです。

 

出願公開後に取り下げられてしまったのか出願公開前だったのか、取り下げられたのは一つだけだったのか複数だったのかわかりませんが、無念であることは容易に察せられます。

 

だからといって、恨み節を商標登録出願に込めても・・・と思ってしまいますが、可哀そうですね。

 

こんなケース初耳なので、特許法の条文が思い浮かびません。正当権利者の救済措置は何かあったかな??

ビジネス上で誰かとトラブルがあって卑劣な「成り済まし取り下げ」被害に遭ってしまったのかもしれません。

 

 

さて、曽根氏にはお悔やみを申し上げるとして、今度は星孝一氏の出願について触れてみたいと思います。

 

星孝一氏は、個人で商標を大量出願(500件くらい)しています。

 

私が見た感じでは、「他者が使いそうなフレーズを先取り的に商標登録している」タイプの商標登録出願が多いみたいです。

 

たとえば「きれいに痩せたい」とか「○○系△グルメ ひと 便利」というように。

 

この図を見てお分かりの通り、空白に適当な文字を入力して商標として使用した人に対し権利行使しようという算段でしょう。

 

また、グラデーション(?)の商標についてもたくさん出願されています。

 

2015年から新しいタイプの商標として、色の商標についても商標登録出願できるようになったので色の商標について出願するのは良いのですが、出願形式を間違えています。これでは色の商標として登録を受けることはできません。

 

星孝一氏の場合には、知的財産権(商標)についてちょっと誤解していたり理解不足のためにこのような商標登録出願をしてしまったのではないかなと思います。

 

いずれの商標も知的財産権としての価値は限りなく低いものといえます。

 

星孝一氏の場合は大量に出願していますが、お金をかけたにもかかわらず財産的に価値のある商標はほとんどありません。
すごく勿体ないです。

 

確かに弁理士への相談料は高額ですが、投資すべき額を投資しなかったために数百万円の赤字を出しています。

 

これから商標登録出願を考えている方には、信頼できる弁理士に相談することをお勧めします。
まあ、誰が信頼できる弁理士かわからないという問題もあるのですが・・・。
ホームページからだけじゃ判断できませんよね。

 

ところで、星孝一氏の出願した商標のイラストを見て思ったのですが、これ、他者に著作権があるような気がします。

2015年になって出願したものはご本人が描いていらっしゃるのかもしれませんが、それ以前の出願は、他人のイラストを流用しただけのような気がします。

 

大昔のダイエーのチラシ(創業間もないころ)でそっくりなイラスト見た気がするんですよね・・・。創業者自らが描いたイラストだったかな?私はチラシそのものを見たわけじゃなくて何かの本で見たのですが、かなり強烈な記憶として残っていました。

 

ちなみに、他者に著作権が存在する場合でも商標登録出願をすることはできます。

 

ただし、使用するときに権利が抵触するので商標を使用できなくなるという問題が起こります(商標法29条)。