高畑勲監督の年賀状が叶精二氏により公開されています。
内容は、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」のパロディです。
といってもふざけた感じは微塵もなく、ひたすら人々の平等と幸せを考えた愛にあふれる詩です。
高畑勲監督らしい・・・と思ったのは私だけではないでしょう。
さて、この素晴らしい年賀状を高畑勲監督とは直接の繋がりのない我々まで見ることができて幸せなのですが・・・
実は、叶精二氏の行為は著作権の侵害の可能性があります。
正確に言うと、著作者人格権の侵害です。
手紙というものは個人に宛てたものであり、決して一般に公表される目的で送られたものではありません。
それを送られた当人が公開することは公表権の侵害になってしまうのです。
過去には三島由紀夫から手紙を送られた人が勝手に公表したことにより、訴訟を提起されています。
手紙というものは非常に個人的なもので、他人には知られたくないことを赤裸々に書いてしまうものです。
ですから、手紙を送られた人は、たとえ送り主が死んだ後でも勝手に公表してはいけないのです。
・・・とここまでは杓子定規に著作権法について解説しましたが、私の個人的意見としては、「まあ、許容範囲だろう」と思います。
別にこれくらいいいよねって感じです。
なぜなら、三島由紀夫の手紙ほど長くもなく恥ずかしいことも書かれていないからです。
しかし、本来ならば、高畑勲監督の遺族に許諾をとってから公開すべきでした。
面倒ですが、その一手間を採ることにより、著作権関係をクリアにすることができます。
ほんと面倒ですが・・・(^^;
高畑勲監督が亡くなった今、他にも高畑勲監督からの手紙やメールを公開しようと思う人が現れるかもしれません。
叶氏のような発表の仕方なら問題にはならないでしょうが、基本的には手紙をかってに公表する行為は著作権侵害となってしまうのでお気をつけください。
「実は高畑勲監督は○○だった!?」なんていうゴシップ(そして、記事の内容は全然ゴシップじゃないという落ち)見たくありませんし・・・。