特許業界におけるテレワークの仕事監視とコロナを理由とした雇用契約内容の変更

在宅ワークが中心になってくると、オンラインで従業員をどのように管理するかが問題となってきます。
こちらのニュース記事によると、IT関連企業がテレワークを始めるときにパソコンのクリック一つで勤務時間が管理できるシステムを導入したそうです。

この管理システムが曲者で、管理というよりも監視システムでしかありません。

昼食などで休憩に入るときも、そのつど、「退席」と「着席」のボタンをクリックすることで、休憩時間も1秒単位で記録されます。

記録された内容はシステム上で管理され、会社の上司は、部下が今働いているのかどうかや、月の勤務時間がどれくらいになっているかを確認できます。

さらに、このシステムでは、社員が「着席」のボタンを押して仕事をしている間の、パソコンの画面がランダムに撮影され、上司に送信される仕組みもあります。いつ画面が撮影されるか社員には分かりません。

社員が「着席」のボタンを押して仕事をしている間の、パソコンの画面がランダムに撮影され、上司に送信される」って恐怖ですよね・・・。このような性悪説で成り立つシステムでは従業員に無駄なストレスを与えてしまうと思います。

特に、特許事務所の仕事(ここでは明細書作成)については、売上ベースで評価出来るので、自由にさせたほうが良いと思います。

勤務時間を厳格に決めて仕事をさせるよりも、気分が乗らないときは昼寝をしてもらうなどしてリフレッシュしてもらえれば、結果として得られる成果はアップするでしょう。

それに、サボる従業員は表面上は取り繕うので、このシステムはあまりうまく機能しないのではないかと思います。
(パソコンでゲームはしないで携帯でゲームをして仕事をしていることにするなど)

 

とはいっても、ベテラン弁理士なら性善説が成り立ちますが、経験の浅い特許技術者等の場合は上司が管理してあげたほうが良いと思います(テレ教育は難しい!)。

特許業界では、結果を出しさえすれば働き方は自由に認められます。

しかし、まだ質が低い明細書しか書けない新人は覚えなくてはいけないことがたくさんあるのにそんな人が一日中SNS漬けになっていたり、夜になってもダラダラ勤務してしまったら経営者としては働かせすぎの心配もしなければいけなくなってしまいます。

期待の大型新人のような人材やSNS担当者なら特別扱いしてもらえるでしょうが、そんな人材の話は少なくとも私の知る限りでは聞いたことがありません。

従業員には「職務専念義務」があるので勤務時間中にSNSをするのは本来ならばご法度です。

まだ経験の浅い特許技術者が勤務時間中に頻繁に(目安として1時間に1件は多すぎ)投稿をするのは、解雇事由ともなりますので、注意が必要です。

後に実名公開することや将来弁理士になることも考えたら、最低限まずい発言は黒歴史削除アプリなどで消しておくべきです。

(日本では従業員は厚く守られていますので、経験を積んだ弁理士や特許技術者が勤務時間内にTwitterを3,4件投稿した程度では絶対に解雇されませんのでご安心ください。)

 

なお、解雇について述べましたが、最近コロナを理由として雇用契約内容の変更が増えているようです。

雇用契約内容の変更とは、具体的には正社員から契約社員への切り替えなどをいいます。
正社員から契約社員への身分変更は当然ながら労働条件の不利益変更に該当しますので、本人の同意が必要です。

その場合の同意とは、自発的な同意であることが必要です。契約社員で納得しないならば解雇するといったような強引な方法は「自発的な同意」とは認められません。

もし本意ではないのにサインをしてしまった人は弁護士に相談すると良いでしょう。
弁護士には相談しにくいが悩んでいるという方はご連絡くださればなにか良い方法をご提案出来るかもしれません。