あと数日で3月も終わります。
出会いと別れの季節。今月はかつてないほど多くの相談を受けました。
基本的にこのブログではコメント欄も開放しているので、関連質問なら各記事にコメントしてくだされば良いのですが、公開では質問しにくいことはメールでの質問を受け付けています(返事が来なかったとしたら迷惑メールフォルダに入ってしまっている可能性が高いです。ぜひご確認を!)
普段の相談内容のメインは法律相談と勉強相談なのですが、今月は知財業界での転職相談ばかりでした。
(コロナウイルスによる失業による転職相談は意外にもありませんでした。)
そして、多くて驚いたのが「内定承諾書提出後の転職に関する悩み相談」です。
普通、転職相談というと、「自分はこの業界に向いているか(未経験者)」とか「人間関係がしんどいから別の良い企業を教えて欲しい。どこか良い所は知っていないか」とか「◯◯社へ転職しようと考えているが元◯◯社の人を知っていたら紹介してほしい」といったことですが、今月は、特許事務所への転職が決まった方たちから何件も「将来が不安です」というご相談をいただきました。
理由は、漠然とした不安感からでした。
たとえば、転職エージェント経由で特許事務所への転職が決まった方から、
「未経験で知財業界に飛び込むことになりましたが不安です。この不安を乗り切るにはどうしたら良いでしょうか。」
とのご相談をいただきました。
「内定承諾書提出後に辞退出来るでしょうか」ではありません。
「不安を乗り切るにはどうしたら良いか」です。
生徒さんでもなく、見ず知らずの方からこういった相談をいただくと気楽に頼っていただけているように感じて嬉しいです(笑)
話を聞いてみると、知財業界にちょっと興味があったので気楽に相談してみようと思って転職エージェントに相談してみたら、理系院卒という経歴から向いていると判断され、あれよあれよという間に特許事務所へ押し込められていたそうです。
そこにご本人の意志はなく、転職エージェントの売上達成の道具にされたという印象です。
気が弱い方が転職エージェントに相談するとこういうことがたまに起きます。
よくよく考えた結果、本当は特許事務所へ転職するつもりは無いのだけど、お世話になった転職エージェントの人に申し訳ない・・・そんな風に考え誰にも相談出来ずに一人で悩み続け、たまたまブログを読んで知った人に藁にもすがる思いで頼ってきたのでしょう。
連絡くれてありがとう!
気持ちがすごくわかったので、随分時間をかけて丁寧に返信をしました(基本的に私が返信をするときは一件一件時間をかけますが、普段以上に時間をかけました)。
未知の仕事への不安はあるだろうが、知財業界は魅力的な業界であることをお伝えしました。
私の気持ちが伝わったのか、明るい返事をいただくことが出来ました。
なお、転職エージェントに対して「申し訳ない」というような気持ちは不要です。”転職エージェントへ言いにくい”という気持ちであなたの一生を棒に振らないでください。
「転職者の心変わり=内定辞退」は転職エージェントにとって織り込み済みなのです。
転職エージェントはあなたが転職に成功することによってあなたの年収の30%もの収入を得ているのですから。
「このエージェントは私のことを売ろうと必死になっているんだな」くらいの気持ちでOKです。
また、別の人も内定が決まってからのご相談でした。
「自分はこの業界で活躍出来ないと思います。不安で仕方がありません」と。
なぜ活躍できないと思うのか理由を聞いてみると、「自分は勉強熱心ではないし他の方々のように知財に深い愛を持っているわけでもないし意識も高くないから」とのことでした。
でも、知財業界で働いている人たちみんながみんな知財に深い愛を持っているわけではないと思います。
最初は「儲かるから」とか「転職の役に立ちそうだから」とかあまり深く考えずに飛び込んでみた人が多いのではないでしょうか。
「熱い思い」を持っている人は燃え盛っているので目立つだけで、存在自体はレアだと思います。
「食べるために仕事をする」という意識だけでも十分です。
ドラマに出てくるような弁護士みたいな弁理士(謎)を目指す必要は無く、普通に仕事を楽しめれば幸せでしょう。
みんながみんな才能も情熱もある仕事(=天職)に就いているわけではないのですから。
仕事を楽しめるだけで十分です。(または逆に仕事を楽しめなくても「出来る」「得意」なだけでも良いと思います。やりがいがないからと悩むこともあるでしょうが、自分に出来ることをコツコツとすることは立派です)
といっても、まだ仕事を始めて間もないのに「知財業界はもっとキラキラしているところだと思っていた。自分はもっと別の場所で輝けるはず」というような考えを持っている人は流石に甘いと思います。
青い鳥を探し求めてフラフラしていると本当の青い鳥に気付けませんから、そういう気持ちは心のなかに押し込めて、歯を食いしばって働いたほうが将来的にプラスになるでしょう。
基本的に知財業界は地味な業界で目立つことは無いので、目立ちたい!という人は、弁護士になるとか起業するとか別の途を選んだ方が良いと思います。
なお、先ほどと矛盾するようですが、「知財業界はもう嫌だ。別業界へ行きたい」という気持ちを持つことは非難すべきではないと思います。誰にでも向き不向きはありますから、自分には向いていない仕事をずっと続けることもしんどいでしょう。
知財業界にこだわって他の選択肢を捨ててしまうよりも知財業界から抜け出すという考え方も決して間違いではありません。
といっても、培ってきたスキルが知財業界限定である場合にはなかなか未経験で他業界への転職というのはハードルが高いです。
「自分には何が向いているのか発見したい」という方に向け、近々(4月中を予定)、天職を発見するためのカウンセリングを提供しようと考えておりますので、仕事や人生にお悩みの方はご利用下さい。
知財業界での転職や勉強相談などは相変わらずいつでも受け付けておりますのでお気軽にご連絡ください。