目に見えない手で触れられない、しかし財産的価値を持つ権利を知的財産権と言います(商標は目に見えるし聞こえるじゃないか!と思われるかもしれませんが、商標法が保護するのは具体的に目に見える商標ではありません)。

 

知的財産があるのなら、愚的財産もあるのでしょうか?

自分で自分を笑いのネタにする芸人の姿を思い浮かべてしまいました。

自分で自分を笑える人は愚かだとは思えませんが、表面的には愚かに見えます。

 

*この記事も旧ブログ「問題解決中」のもので実際に書かれたのは2〜3年前です。

 

さて、財産があるなら負債もあるはず。

 

それに名前はないけれど、あえて名前をつけてみるなら、

知的負債でしょうか。

 

そのまんまですね。

 

「それを知っていることにより頭の中が占領されてしまって生産的な活動ができなくなってしまう知識」と定義づけてみました。

 

たとえば、うちの娘は幼稚園生のときにyoutubeでホラー動画を見てしまい、それがトラウマとなって不眠が続きました。

 

小学生になった今でも続いています。

夜に何度も起きてしまいます。

 

こういうのが知的負債でしょうか。

でも、単にトラウマと言えば済みそうですね(^^;

 

そこで、「知的負債とは、ネットに載ってしまった自分のネガティブ情報のこと」と定義しなおしてみます。

 

インターネットの発達した現代では、誰もが情報の発信者となれます。

 

特に、ツイッターでは情報発信をする前にプレビューをすることもないので、軽はずみな発言をしてしまう恐れがあります。

 

また、リツイート目当てで自分の裸の画像を晒してしまう未成年もいます。

 

大人ぶってお酒を飲んでいる動画をYouTubeにアップロードしてしまう未成年もいます。

 

それらのちょっとした過ちが、自分の人生を壊してしまいます。

 

フェイスブックやツイッターのようなソーシャルメディアでは、瞬間的・爆発的に情報が拡散されます。

 

ポジティブなことだったら嬉しい限りですが、自分のネガティブな情報や恥ずかしい画像が拡散されてしまった場合、文字通り人生が破壊されてしまいます。

 

仕事を追われるだけでなく、ネット上に残った情報が元で、再就職も出来なくなります。

 

常に目に見えない誰かの攻撃を恐れていなくてはいけません。

 

まともな精神状態ではいられなくなってしまうでしょう。

 

他人事ではありません。

 

たとえば、電車内でたまたま手が女性の体に触れてしまい、痴漢だと思われ、
被害女性から写真を撮られ、それを即twitterでアップロードされ、
「電車ナウ。痴漢馬鹿ハゲ親父晒すwww」

なんていつどこで起きてもおかしくありません。

 

冤罪であるにもかかわらず、火のないところに煙は立たないとばかりに、身内からも冷たい目で見られ、仕事も辞めなくてはいけなくなるかもしれません。

 

たった一度の「事故(犯罪ではなく)」によって将来を潰されてしまうのです。

 

ネット社会では匿名投稿が出来る故に、強気な発言や軽率な発言をしやすい環境であるといえます。

 

しかし、だからこそ投稿前に「本名が出ても責任を持てる発言か。他人を無意味に傷つけないか」ということをよく考えないと、もう一人の自分の行動を止めてくれる人がいないために、暴走しがちになります。

 

しかし、よく考えてから投稿したつもりでも、独りよがりな考えであったために、その投稿が物議を醸し出すことはあるでしょう。

 

そんな発言に対し、ネット社会では「ボランティア」により私的に制裁が加えられます。

 

個人情報が調べられ、過去の問題発言等を始めとして家族関係など根こそぎ情報が流出してしまいます。

 

間違いを侵さない人間はいません。むしろ、間違いを犯すからこそ人間です。

 

たった一度の不適切なツイートやヌード画像のために人生を棒に降るのは非常にバカバカしいことです。

 

事実無根の情報や裸の画像などは管理者に問い合わせて削除要請すべきですし、管理人も削除要請にすぐに応じるべきです。

 

 

しかし、そもそもネット上で自分のネガティブ情報を見つけたとしても誰が管理者かわからなかったり問い合わせフォームがないために問い合わせ出来ない可能性があります。

 

また問い合わせできたとしても、その情報が何百万ものサイトに拡散してしまっていたら、一つずつ消していくのは物理的には不可能です。

 

そこで、確かにリツイートをした人たちの表現の自由を制約することにはなるでしょうが、
プライバシーを守るためには、「忘れられる権利」を認めるべきです。

 

インターネットが空気のような存在になった現代では、自分のネガティブな情報がネット上に残ることにより人生が狂ってしまいます。

 

もちろん犯罪情報などは第三者に知る権利があるので、かつての犯罪者からの申告で記事削除を認めるのは適切ではないでしょう。

 

削除要請を認めプライバシーを優先するか、知る権利を優先するかは非常に線引きが難しい問題です。

 

ガイドラインはありますが、全世界共通ではありませんし、今のところ削除要請が認められたのは欧州だけのようです。

 

google透明性レポートhttps://www.google.com/transparencyreport/removals/europeprivacy/

によると、削除要請は今日(2015年8月18日)までで約30万件あり、約4割が削除されています。

 

しかし、欧州以外でも「忘れられる権利」を認めて欲しい人はたくさんいるはずです。

 

日本でも、一度twitterで炎上してしまうことにより、人生を台無しにされてしまった一般人
や、フェイスブックでイジメを受けている人たちがいます。

 

したがって、日本でもGoogleに削除依頼することによって、その情報が検索結果に出ないようにしてもらう措置を取れるようになると安心です。

 

知る権利とプライバシーの問題は微妙ですので、
弁護士の仕事が増えそうですね。

 

ところで、欧州では個人保護の要請が強いので個人のプライバシーを重視しているのですが、Google発祥の地アメリカでは、個人主義の国であるにもかかわらず忘れられる権利は認められていないようです。

 

しかし、前科者はともかく誤認逮捕や未成年の裸画像などは検索結果に載せることのほうが害があります。

 

レイプの被害者はFacebookに写真を掲載されることにより継続して二次被害に遭い、自殺してしまった子たちもいますから。

 

ぜひアメリカでも忘れられる権利を認めてほしいところです。

 

削除を認めるということは、世界中の該当サイトをいちいち調べなければならず、Googleへの負担が非常に大きくなります。

 

しかし、だからといって蔑ろにして良い問題ではありません。

 

Alphabet社の新設と共に、超巨大企業が人類を支配することに対しての恐怖を感じはじめている人も多い今だからこそ、

知的負債である自らの「暗い過去」の削除要請については柔軟に対処して欲しいところです。

 

ちなみに私自身はフェイスブックをしたことがありません。

 

面倒臭がりだからというのが一番の理由ですが、同意なしにSNSの友達情報やインターネットの閲覧履歴、購買履歴といった個人情報を検索会社やFacebookに掴まれて管理されるというのがなんだか嫌だからです。

 

データを勝手に他人に売られたりサービスの改善以外の変なことに利用される恐れもありますし。

 

気にしすぎといえば気にしすぎですが、過去に変なDMや電話を受けたことがあったので、その頃から個人情報の入力には気をつけるようになりました。

 

ベネッセですら顧客情報を流出してしまったので(お詫びの品に500円分のクオカードをもらいました)不必要に自分や家族の個人情報を渡したくありません。

 

唯一しているSNSがぐぐたすですが、これも主に情報集めに使っていて、個人情報は載せていません。

 

ビジネスをする人にはFacebookやTwitterは有効な手段なのでぜひやるべきですが、個人で利用するときには、そのマイナス面にも気をつけなくてはいけません。

 

特に、子供がSNSを利用するのは成人するまで留まって欲しいと思います。

 

中高生のLINEイジメは多いようですし、学校で子どもたちにネットリテラシーや個人情報の保護の重要性をもっと積極的に教えないといけない時期に来ていると思います。

 

インターネットは非常に便利ですが、悪用する人が多いのも事実です。

 

自分はプロフィールをネットに載せたりしないから大丈夫、と思っていても、

「今日が誕生日の人、リツイート」

なんてツイートにノッてしまうと、結局自分で個人情報を漏らしていることになります。

 

ネット上では迂闊な発言をしないようにマナーを守る、個人情報や家族・友達の情報も漏らさない、といった決まりを守ることにより、「知的負債」の蓄積を防ぎたいものです。