蒸気機関の発明者たちと基本特許

今日は、蒸気機関を発明したイギリスの発明家トマス・セイヴァリの誕生日。およそ300年ほど前の発明者です。

セイヴァリは容器の中の水を蒸気の力で押し出し、蒸気の凝縮を利用して生まれた真空によって新たに水を吸い上げるという仕組みの「火の機関」と名づけた機械を開発しました。そして、国王・ウィリアム3世の前で実験に成功し、特許を取得することができました。

その後間もなく、同じくイギリスの発明家、技術者であるトーマス・ニューコメンにより実用的な蒸気機関が発明されました。
ニューコメンの発明した機関は、既知の部品の組み合わせであり、また当時の技術をうまく総合すれば、不可能なものではありませんでした。
新規性は無いけれど進歩性はあったのです。

トマス・セイヴァリの発明は少しズレただけで破裂事故を起こしてしまうため、ニューコメンの改良型蒸気機関が実質的には活用されました。

ところが、既に1698年に1733年まで有効とされたセイヴァリによる「火力によって揚水する装置」という基本特許がありました。

セイヴァリの発明品は実用化されず実質的な蒸気機関の発明者はニューコメンですが、ニューコメンの装置はセイヴァリの技術の利用とみなされたため、セイヴァリは莫大な特許料を手にしました。

基本特許強しっ!!

wikiによると、セイヴァリはまだ特許権存続期間中の1715年に死去し、特許は遺言により未亡人が引き継ぎました。それを、「火による揚水の発明の所有者団 (Proprietors of the Invention for Raising Water by Fire)」 が、年金と引き換えに未亡人から買い取ったそうです。「所有者団」は、その後ニューコメンやその他の技術者らにより建造された全てのニューコメン機関の、建造と運転にかかわる全ての特許権を行使したとのことです。

 

それから約50年後。1769年にジェームズ・ワットが分離凝縮器の特許を取得し、ニューコメン機関の大きな改良を行いました。

ワットの改良にもかかわらず、ニューコメン機関はワット機関より安価で、さほど複雑ではなかったので、ワットの特許期間内の1770年から1800年の間にもワット機関より多くのニューコメン機関が建造されました。

 

ニューコメン機関、有能過ぎ!

なのにワット(マシュー・ボウルトンとの共同事業の成功により大成功を収めた)ほど知名度も無いしセイヴァリほど特許料で稼げていないし不遇ですね・・・。

 

このニューコメンを弔うために、後に機関車トーマスというアニメが創られ、トーマスのフレンドにジェームズがいるという設定になった・・・という事実は全く見られません。

蛇足ですが、トーマスのキャラクターグッズって、日本だけで年間300億円ほど売り上げているそうですよ。ライセンス収入だけでもとんでもない額です。
我が家では新幹線(シンカリオン含む)グッズのほうが多いですけどね。