*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事です。実際に書かれたのは2年ほど前です。
今朝インターネットを見ていたら、カールおじさん実写化のニュースを見たので、今日はキャラクターブランディングについて語りたいと思います。
長年続くブランドは変わらないように見えて少しずつリニューアルを繰り返しています。
たとえば、有名なお菓子を過去から現在まで20年間分集めてパッケージデザインを比べてみると、時代の流れを感じられます。
キャッチコピーに凝っている時代もあれば、当時人気の原材料(例えば、「ナタデココ」や「アサイー」など流行りの食材)を全面に押し出している時代もあります。
昔からあるお菓子で有名なものとして、明治製菓の「カール」があります。
イメージキャラクターのカールおじさんは1974年に誕生したといいますから、年齢で言うと45歳くらい。ちょうどおじさんの実年齢に合っていそうです。
この、牧歌的な雰囲気のCMでおなじみのカールがリニューアルしました。
それに伴い、カールおじさんの実写版CMが創られました。
なぜおじさんをわざわざ実写化するのか・・・と疑問に思ってしまいそうですが、ただ実写化したわけではありません。
おじさんのイメージを180度変えて実写化しました。
つまり、イラストでは「牧歌的でちょっとダサい」イメージのおじさんを実写版では「筋肉ムキムキでカッコいい」俳優を登用してイメージの転換を図ったわけです。
担当した俳優さんはサックス演奏で有名な武田真治さん。
とても「おじさん」には見えません。
このギャップが受けたのでしょう。巷では女性ファンを中心に大評判になっています。
ブランドは変わらない。でも少しだけ変化して続く。
この原則をいい意味で裏切ってくれました。
やり方次第では既存ファンを逃してしまうことにもなりかねない諸刃の剣。
しかし、明治製菓は勇気をだして(?)やって見せました。
もちろん、こうした試みは明治製菓が初めてしたことではありません。
マクドナルドのハンバーグラーもアメリカではカッコいいキャラクターに変身して再登場しています。
多分ハンバーグラーに影響を受けてカールおじさんのかっこいい実写版を思いついたのではないかと個人的に考えています(違ったらすみません。勝手に考えただけです)。
このギャップは、「ちょっとダサい」イメージのキャラクターを「カッコいい」イメージでリニューアルすればいいだけですから、いくらでも真似できます。
たとえば、「おばあちゃんのポタポタ焼き」も実写版おばあちゃんとして、超美人の女優さんが演じてもいいわけです。
たとえば、イメージの全然違う黒木メイサさんとか、ナタリー・ポートマン(そもそも日本人じゃないだろっと突っ込まれるため)とか。
ちなみにおばあちゃんのポタポタ焼きも昔はおばあちゃんがおせんべいを焼いている姿のイラストがパッケージに載っていたのですが、最近ではおばあちゃんは袋に入ったおせんべいを取り出して食べています。
時代ですね・・・w
日本最古の商標の一つに挙げられる「虎屋の羊羹」も少しずつリニューアルを繰り返しています。
ルイ・ヴィトンのような海外のブランドもそうです。
微動だにせず全く変わらないというのはブランド戦略上取りにくいのです。
逆に、正反対のイメージでリニューアルをするということもやりにくいことです。
面白い映像を創ると、一時期の話題集めにはなりますが、一定期間がすぎれば飽きられてしまい、気づくと長年のファンが去ってしまっていた・・・ということにもなりかねません。
我が子のように大切に育て上げるべきブランド。
一度イメージを崩してしまったら復活は難しくなってしまう大切な知的財産。
こんなに大事なブランドを持っていながら大幅なリニューアルをしたカールおじさん、いえ明治製菓には拍手を送りたいです。