JASRACがライブハウスX.Y.Z→A(ファンキー末吉氏)に対して起こしていた著作権侵害差止等請求事件について、2日前(2017年7月13日)に最高裁での決着がつきました(正確に言うと、被告による最高裁への上告は棄却され、知財高裁での判決が確定しました)。
結果として、「全てのライブハウスはjasracに金銭を払え」ということになりました。

 

これは、カラオケ法理などを考えると妥当でしょう。ライブハウスは直接の演奏主体ではないとしても、利用者(ここではカラオケ法理とは異なり、消費者ではなく、演奏者になりますが)が音楽を演奏等することにより利益を得ているわけですから。

 

ただ、ライブハウス側としてはこの金銭の取り立てに対し、素直に応じにくいと思います。
だって、ジャスラックに払ったお金が本当に著作権者に渡っているとは思えないから。

 

この判決や最近のジャスラックの言動(音楽教室問題等)を見ていると、ジャスラックが文化の発展に寄与(著作権法第1条)することをしているとは思えません。

 

文化よりも「ジャスラックの発展」に寄与しているように思えます・・・。
ジャスラック側としては、「jasracが発展するということは音楽文化が発展すると同義だ」と主張しそうですが・・・。

 

jasracの良さは、音楽を利用したい人がいちいち個別の著作権者に許諾を得なくても簡単な手続きと使用料の支払いだけで音楽を利用できるというところです。
これは非常に大きな利点です。

 

しかし、それは同時に、闇をも生み出しています。

 

すなわち、「簡単な手続きだけで音楽を使用できる分、徴収した使用料の分配もはっきりしていない」ということです。

 

ジャスラックのホームページを見ると、分配の仕方についての記載はあるのですが、必要以上に多くのお金がジャスラックの音楽管理費用に費やされているように見えます。

 

作詞や作曲をしてその曲がライブハウスやカラオケで使われているにもかかわらずごく少しの著作権使用料しか分配されていない著作権者たち。
音楽を生み出していないのにジャスラックの会長や理事というだけで金銭を得ている人たち。

そして、音楽を楽しみたいのに著作権侵害が怖くてビクビクしている一般の人たち。

 

今の日本の音楽文化は混沌の中でもがいています。

 

健全な音楽文化の発展のためには、この混沌の中に光の筋を通すことが必須です。

 

では、どうしたら闇の中に光を見出すことができるのでしょうか。

 

一つには、他の音楽著作権管理事業がこの業界に参入してくることです。

もっと他の音楽著作権管理事業がこの業界に参入し、健全な競争がされると、音楽著作権管理事業も風通しがよくなり、一般の人からも好意を持って迎えられ、本当の意味での文化の発展(著作権法第1条)という法目的に沿うことになると思います。

 

今は4つほど音楽著作権管理事業が存在するとはいえ、ほぼジャスラックの独占事業になっています。
権力が一か所に集中してしまうと腐敗が起こりやすいというのは歴史が示した事実です。

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ですから、金銭の流れを公開し、不明確なことがあった場合には異議を唱えられるようにできることも大事です。

 

2つ目は、音楽を愛する一般の人たちが声をあげることです。

確かに一人一人の声はかき消されてしまうような小さな叫びでしょう。

しかし、その声が一万、10万・・・と増えれば増えるほど無視できない大きな叫びとなります。

今回は、ファンキー末吉さんという有名人が見せしめのために公開処刑(比喩ですよ。念のため)されましたが、このような見せしめ裁判という権力を笠に着た前時代的な手法を採るジャスラックに対し、怒りの声をあげることが日本の音楽文化の発展に寄与することとなります。(もちろん怒りを感じるのは見せしめ裁判に対してだけでなく、著作権料の徴収の仕方や、額の多さ、分配金の少なさ等全般的なことでしょう)

 

そして、3つ目は、楽曲の管理がしやすいソフトウェアなどを利用するということです。

 

これは、私が大好きな問題解決の手法の一つである「メカニズム代替原理」です。
物事には人が多く介在すればするほど無駄な人件費がかかり、正確性が落ちます。そこで、機械に管理を代替してもらうことにより、安価で正確な管理を期待できます。
ソフトウェアの開発にはかなりの資金がかかりますが、人件費と比べればずっと安価です。
AIに仕事を任せ、ジャスラックで働く人の数を減らし、著作権者への分配金を増やすように努めることがジャスラックの使命です。自らの身を削ってでも他者のために努力するなんて、崇高ではありませんか・・・!

 

というわけで日本の音楽文化の発展のためにできそうな方法を考えてみましたが、既得権益を得ている人がいる以上、一筋縄ではいかないと思います。

だって、私だってジャスラックで一定以上の立場にいたら、昔の判例を持ち出したり著作権法の条文を持ち出してきて自分の正当性を主張してしまうもの。
そして、ファンキーさんみたいに人気のある人が逆らってきたら、こっそり根回しして内部に引きずり込んだりして口をふさいじゃう(笑)。

 

今の私は音楽家でもないしジャスラックとは何の関係もないからこうして中立的な記事を書けるけど(正確に言うと、アマチュアミュージシャンから相談を受けることが多いから彼らに感情移入してしまっているけれど)、ジャスラックに多額のお金をもらったらきっと手のひらを返しちゃう。

人間なんてそんなものなんだ。

悪いのはお金や権力に弱い個人じゃなくて、システム。

 

だから、現在ジャスラックで理事をやっている人たちを責めるというよりはシステム自体を悪とみなしてシステムを改善することによりジャスラック及び音楽産業を盛り上げていきたいと思うのです。

 

結局そうすることにより、長い目で見れば音楽を楽しむ人が増え、それにより著作権使用料を徴収できる額も増え、音楽を楽しむ人にも著作権者にもジャスラックにもプラスとなる結果となると思います。