アイライト事件【不使用取消審判における「使用」】

今日は、弁理士試験でも出て来る知財高裁平成27年11月26日判決(平成26年(行ケ)10234号)『アイライト事件』を題材として、不使用取消審判(商標法50条)について説明したいと思います。

 

不使用取消審判が請求された場合、商標権者は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによる登録商標の使用の事実を立証しない限り(正当な理由がある場合を除く)、その登録の取消しを免れないとされています(商標法50条2項)。

商標登録の取消しの審判
第五十条 継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
2 前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。
3 第一項の審判の請求前三月からその審判の請求の登録の日までの間に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をした場合であつて、その登録商標の使用がその審判の請求がされることを知つた後であることを請求人が証明したときは、その登録商標の使用は第一項に規定する登録商標の使用に該当しないものとするし、その登録商標の使用をしたことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。

この「使用」についてですが、
①商標法2条3項の使用に当たれば良い
②商標法2条3項の使用 + 商標的使用態様(出所表示機能を果たす態様)で使用されていることが必要

と2つの見解があります。
①は、不使用取消審判は商標権侵害の場面と異なり、商標権者が登録を維持する場面の問題であるからと理由付けられています。

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②については、商標権侵害の場面で重視されますね(商標法26条参照。商標的使用態様でない場合には、商標権の侵害となりません)。

さて、今回言及している『アイライト事件』ですが、本判決では、商標法50条の趣旨及び使用の解釈について①の見解を採ったものと言えます。

指定商品・役務等について登録商標が使用されていればそれで良いとされました。

もちろん、販促品のボールペンや定規、クリアファイル等へ登録商標を使用を付しただけでは商標法50条の「使用」には該当しないでしょう。(なお、下記の画像は本文とは関係ありません)

日本弁理士会関西支部で配っている販促品
日本弁理士会関西支部で配っている販促品

最後にアイライト事件で出て来る重要な部分を抜き出してみましょう。

口述試験で問われてもおかしくありませんから、暗記してしまってもいいところですよ!w

「商標法50条の主な趣旨は、登録された商標にはその使用の有無にかかわらず排他独占的な権利が発生することから、長期間にわたり全く使用されていない登録商標を存続させることは、当該商標に係る権利者以外の者の商標選択の余地を狭め国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるので、一定期間使用されていない登録商標の商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるというものである。
上記趣旨に鑑みれば、商標法50条所定の『使用』は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないというべきである。」

「被告は本件行為、すなわち平成23年10月12日メタルハライドランプ水中灯『アイライト』である形式『M2000BW/V』を本件ラベルが貼付された本件個装箱に入れて売却、納品したものと認められ、これは商標法2条3項2号所定の『商品の包装に標章を付したものを譲渡』に該当するから、商標法50条所定の使用の事実が認められる。」