今回は、私が普段問題解決をするときのステップの大枠を説明いたします。
MBAを取得していたり大学で教鞭をとっているような偉い人のする難しい問題解決ではありません。
普段誰もが使える問題解決のステップです。
簡単ですが、Trizやアルトシュラーの著作に記されているように効果的な方法です。
ステップ1.問題を適切に定義する
ステップ2.問題を分析する(専門的で深い知識が必須)
ステップ3.解決策を実行する(妥協はしない。自然に解消したならok)
ステップ4.解決策の評価。改善
まず、ステップ1で問題は何か?を定義します。
例えばA子さんが、「痩せない」という悩みを抱えているときに、問題を「運動が足りないからだ」と定義したとします。
そして、友達のちはる(この記事を書いている私です)に、そのことを話すと、ちはるは解決策として「ジムへ行ったら?または一駅歩くとか。プールもいいかもね」と様々な方法を提示出来ます。
しかし、上記の問題定義は正しいのでしょうか。
正しいかもしれませんが、不十分だと思われます。
なぜなら、運動をあまりしなくても痩せている人はたくさんいるからです。(隠れ肥満はいるかもしれませんが)
ですから、この「問題を適切に定義する」ということは、実は難しく、注意が必要なことです。
ただし、ここを適切に定義できれば、あとはステップ2で専門家によって分析されれば問題は解決します。
さて、ステップ2で問題を分析する際には、その分野と関連分野における深い素養が必要になります。
アルトシュラーによると、技術発展の弁証法的法則を理解していること、分析に必要なあらゆる事実データを保有していること、そして論理的分析を進める技能も必要だそうです。
ですから、ステップ1は一人で出来たとしても、ステップ2で躓いてしまう可能性があります。
チームを組んで、擬似天才を作り出す=みんなの知識や経験を持ち寄る ことにより、深く分析することができます。
ただ、ダイエットのように自分の生活に密着している分野だと、誰でも割と簡単に専門的な知識を得ることが出来たりします。
技術的な知識には抵抗がある人も、栄養学や人体についてはいつのまにか学んでいたりするでしょう。
もちろんメディアが流布した信ぴょう性のない情報もありますから、注意が必要です。
A子さんの「痩せない」という問題に対して、ちはるは「食べ過ぎなのでは」と問題を定義してみました。
そして、日々食べているものをリストアップしてもらいました。
間食が多く、子供の食べ残しもつい勿体無いので食べています。
A子さんは標準体重ですが、美容のために痩せるには、食事の量を制限する必要がありそうです。
「痩せない」という悩みの多くは、「食べ過ぎ」が原因であると思われます。
「運動不足」や「年のせい」もありますが、「摂取カロリーがオーバーしている」のが一番の原因です。
そして、なぜ食べ過ぎてしまうのかというと、「気分」や「ストレス」のせいかなと思います。
ストレスがないときや嬉しいことをしているとき、適度に緊張しているときは食欲を感じません。
しかし、暇でやることがないときや心理的に負担となる悪いストレスを抱えているときは過食をして自分をごまかします。食べることで現実から逃げ出します。
そして、それが罪悪感となりさらにストレスを貯めてまた過食・・・という悪いスパイラルにハマってしまいます。
糖質制限ダイエットや朝バナナダイエット等いろいろなダイエット手法がありますが、どんなダイエット方法も、肥満体の人が標準体重に戻るためにはある程度の効果があると思います。
しかし、すでに標準体重かそれ以下の人がさらに痩せるためにはあまり効果がありません。
ですから、既に標準体重以下の人が美容のために痩せようとして「肥満の人のためのダイエットプログラム」を試してみても思うようにはやせません。
太っている人は、ストレスの解消や気分転換として食べるという悪い癖をなくせば、普通の体重になると思います。
ステップ3では解決策を実行します。
技術的なことなら妥協はせず、矛盾マトリクスに当てはめたりして解決します。
ダイエットなら、実際に数日間から数ヶ月間その方法を試してみます。
数日間だけ断食するというような極端なダイエットをするとリバウンドが激しいので、ある程度長期的な視点で見る必要があります。
技術的な問題と違って、ダイエットは人間の心理的な問題が大きいので、真面目に考え気にすれば気にするほど逆に太ってしまうという矛盾を抱えています。
私自身の経験によると、「暇なとき」と「忙しくてストレスが溜まっている時」に食べ過ぎてしまう傾向があります。
ですから、中間の「ほどほどに忙しい」状態を保てばいいわけですが、それがなかなか難しかったりします。
なので、「暇なとき」には本を読むなど楽しいことをしたり、「ストレスが溜まっているとき」は食べる以外のことでストレスを発散する(たとえばマッサージを受ける等)ことで食べ過ぎを防ぐようにします。
A子さんには「ながら食べ」を止めてもらい、ストレスが溜まっているときや美味しそうな物を目の前にしたときの「偽の食欲」に惑わされないように「食べる前に本当に食べたいのかを自分の体に聞く」ことをしてもらいます。
ご馳走を目の前にして食欲を意志の力でセーブするのは難しいので、「そもそも偽の食欲を誘発する食べ物(ジャンクフードに始まり、砂糖や精製した小麦粉など)に近づかない。家の中にそれらの食品を置かない」ことも大事です。
ステップ4ではステップ3で登用した解決策の評価をします。
あまり効果的でなかったなら改善策を考えます。
A子さんは体重を落とすことが出来たので成功したといえます。
もしステップ1の段階で問題を「運動が足りない」と定義したら、「筋肉をつけることが大事」と考え、毎日筋トレに励み、一ヶ月経っても体重に何の変化も現れない可能性もありました。
この場合、分析を間違えると、「運動は無駄だ」という結論になりかねません。
しかし、「筋トレは毎日すべきものではない」「筋肉のほうが脂肪より重いのだから、体重に変化はなくとも、筋肉量が増え脂肪量が減っているかもしれない」のです。
ですから、ステップ2の分析の時点できちんとデータを計測しておく必要があります。
以上、問題解決の4つのステップでした。
ダイエットのように卑近なことに関しては、問題解決をするという意識を持たなくても自然にこのステップを取り入れていることもあるかと思います。
ステップ2の分析は専門的な知識が必要とはいえ、ステップ1でしっかり問題を定義できれば、あとはその分野に詳しい友達に聞くだけで解決策が得られることもあります。