*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。

 

2017年のNHK大河ドラマは「おんな城主 直虎」に決定していますが、直虎ゆかりの地である浜松では、「直虎」を商品やサービスに使えずに事業者たちが苦境に陥っています。

 

大河ドラマの題名や主人公の名前を商品に使えない理由。それは、商標権の存在です。

 

「直虎」(及び類似の商標)に関しては、地元の業者や井伊直虎に全く関係の無い会社によって商標登録がされていました。

 

商標権が存在すると、他人によるその商標の使用は禁止されます(商標法25条、37条)。

そのため、関連商品を販売して地域活性化を図りたい浜松商工会議所や浜松市にとっては困ったことになるので、特許庁に登録の取り消しを求めています。

 

さて、この商標登録の取り消しは認められるでしょうか。

商標法に沿って私の考えを述べたいと思います。

 

「おんな城主 直虎」の大河ドラマ放映がテレビで発表され、NHKエンタープライズによって「おんな城主直虎」が2015年8月24日に商標登録出願された後に直虎関連の商標は次々と出願・登録されました。

日本酒やお菓子の会社による出願もありますが、全く関係の無い法人(コンサルティング会社など)による一種の商標ビジネスを感じさせる出願・登録も存在します。

 

浜松市による「出世法師 直虎ちゃん」の商標出願などはまだ登録されていないのに、他人による「直虎」関連商標の登録を認めてしまったのは健全な競業秩序のためには望ましいものではありません。

 

したがって、現在他人による商標登録は浜松市により異議申し立てされていますが、少なくとも、2015年8月以降にされた商標登録出願については、この異議申し立ては認められるのではないか(異議申し立てが認められればその商標権は初めからなかったものとみなされます)と私は思っています。

 

確かに「井伊直虎」は歴史上の人物としてはマイナーです。私も知りませんでした。

 

しかし、NHKの大河ドラマの主人公に抜擢されたということは、全国民にとって「直虎?聞いたことあるなあ。大河ドラマだよね」といえる程度の周知性は獲得しているはずです。

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また、商標審査基準の言葉を使うと、無関係の第三者による出願は「出願の経緯・目的・理由」や「当該歴史上の人物との関係性」の点で不利になると思います。

 

したがって、既にされた他人による「直虎」関連商標登録は、「公の秩序を害するおそれのある商標登録」(商標法4条1項7号)であるとして、異議申し立てが認められるものと考えられます(商標法43条の2第1号)。

 

また、NHKによる大河ドラマの主人公としての直虎の名前の発表以前に登録された商標についても、「有名な歴史上の人物の名前」であるとして無効にされる可能性はあります。

 

まあ、実際は無効にはしないで、当該商標を使用したい人が商標権者に許諾をもらって商標を使用することになるでしょう。

でも、もしその商標権の保有者が商標使用の見返りとして商標使用料を求めてきたら無効審判を請求してその商標権を消滅させてしまった方が良いでしょう。

 

もはやマイナーではない「直虎」の名前は、少数の者が独占することが許されるものではありませんから。

 

というわけで、浜松の事業者の方は、浜松市が商標登録出願し登録を受けた商標については浜松市に使用許可を貰い、NHKが商標権を持っている商標「おんな城主 直虎」についてはNHKに許可を貰って事業を行うことができます。

 

その他の商標、たとえばお菓子について「直虎公」やみそやお酒等について「直虎」、みりんなどについて「直虎の里」商標を使用したい人は、個別に商標権者に許諾をもらう(無料で)か、それらの商標登録がなくなるのを待つ(4月頃?)のが良いでしょう。

 

まだ商標登録は存在しますので、くれぐれも勝手に商標を使うことのないように気を付けてください。

おそらく商標登録は消されるとは思いますが確実ではありませんし、商標権が存在する状態で登録商標を使用してしまうと、商標権の侵害として権利者から差し止め請求や損害賠償請求をされてしまいますから。

 

以上「直虎」商標が使えるかどうかについて説明しましたが、まだ疑問点のある方は弁理士に尋ねてから使用してください。私に聞いてくれても構いません。

 

歴史上の人物の名前の商標登録」についてはメインサイトにも詳しい説明をしてありますので、興味のある方はメインサイトをご覧ください。