*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

パソコンが壊れたために10日間ほどブログをお休みしていた福田です。
今頃になりますが、あけましておめでとうございます。

 

さて、ブログは休んでいましたが、スマホやテレビでいろんなニュースを見ていたのでいろいろと書きたいことは溜まっていました。

 

なかでもツイッターでおじいちゃんの発明した方眼ノートを買って!とつぶやいた女の子の話は知的財産権の観点から見て面白いなと思ったのでちょっとお話してみようと思います。

 

この記事は、ものづくりをされている企業の方に読んでいただきたいです。

 

なぜなら、このケースは、特許を始めとした知的財産権を保有する企業・個人はどのように知的財産権を活用すればいいのかを考えさせてくれるからです。

 

まず、特許権の所有者は「優れた特許発明さえあれば、自動でお金が入ってくる」と勘違いしがちです。

 

しかし、「良いものを作れば売れる」わけではないことは実際に物を売ってみたことのある人にならわかるはずです。

 

同じように「どれだけ良い特許を持っていても、持っているだけでは稼げない」のが通常です。

 

したがって、「特許で稼ぐ」ためには、特許権を得るだけではなく、その特許権を活用する方法を考えなければいけません。

 

では、どのように活用すればよいのでしょうか。

 

まず、特許権も財産権であることから、「売る」ことができます。

 

しかし、売却価格を認定するのは困難ですし、買いたい人がすぐに現れるとは限りません。また、苦労して取得した特許権を売りたくなんかないのが発明者の心情でしょう。

 

となると「特許権を貸す」、つまり「特許をライセンスする」という手段が考えられます。

この場合は特許のライセンスを受けた企業が販売した商品の売り上げに応じて一定額のロイヤリティを設定すればよいでしょう(たとえば、販売価格の5パーセントというように。このパーセンテージは業界によってだいたい決まっていることが多いので、他社のロイヤリティ率などを参考にしてください)。

 

しかし、売るにせよ貸すにせよ、まずは自分の特許権の存在を知ってもらわなければいけません。

では、どうすれば良いか。

当たり前ですが、自社のホームページなどで積極的に情報発信していくことが重要となります。

 

ただし、ただ情報発信すればよいというわけではありません。

 

特許発明によっては技術の理解が困難だったり何の特許なのかよくわからない場合も多いでしょう。情報に触れた人が「使いたい!」「欲しい!」と思うような書き方をしなくてはいけません。

また、わかりやすさも重要です。

 

企業のホームページなどは、まじめに淡々と情報を羅列することが通常ですが、それでは他の情報の波にかき消されてしまう可能性が高くなります。

 

かといってふざけた感じの文章にしてしまうと、ネタにはなりますが、まじめに受け取ってもらえない恐れがあります。

 

したがって、情報発信媒体によって情報の伝え方を変えることが必要になってきます。

まじめに技術について自社のHPで語るだけでなく、交流サイトに情報を載せたり、SNSで積極的に情報を発信していくことが重要となります。

 

フェイスブックをお持ちの方はフェイスブックで情報を発信すると良いでしょう。

日本語だけでなく英語表記もすべきでしょう。日本だけに限定するよりは全世界を相手にしたほうが情報が広まりますし、情報が集まってきます。

 

ツイッターの場合はフェイスブックに比べ匿名アカウントが多いので信頼性には劣りますが、日本は世界でも有数のツイッター大国なので「おじいちゃんの方眼ノート」のようにツイッターで情報発信するのもよいでしょう。

 

その際、情報に物語性を持たせると人の心に訴えかけてより広まり、よりアクセスがあります。

 

おじいちゃんの方眼ノートの場合は、孫娘が苦労して発明したけれどその発明に係るノートが売れなくて困っている。孫娘の知り合いの絵描きさんたちにでも活用してもらえれば。
というストーリー性がありました。

 

このストーリーに初めて触れたとき、私は、貧しい個人発明家が苦労しているんだな、という印象を受けました。

 

しかし特許庁データベースで調べてみると、この特許は、おじいちゃんが明細書を書いたものではなく、きちんと弁理士に依頼して特許出願しています(弁理士費用をケチって個人で特許出願しているものは明細書の質が低くて権利を取っても使えないものが多数見受けられます。もちろんきちんとした明細書を書ける人もいますが少数派です。その特許で商売をするなら親身になって話を聞いてくれる弁理士に仕事を依頼したほうがいいですよ)。

権利者もおじいちゃんの会社です。

つまり、最初から商売目的でしっかりとした特許を取得したものの、うまく特許権をアピール出来ずに在庫を抱えて困っていただけのようです。

 

こんな状態にある会社、日本にはたくさん存在しそうです。というか存在しています。

 

私はたまに「うわー、こんなにすごい特許が埋もれているなんて勿体ない!!」と思うような発明に出くわしてその発明のことが頭から離れないことがありますから。

 

うちの製品技術はすごいのに何で売れないんだろ・・・とお悩みの方は、ツイッターなどを活用して技術アピールをしてみてはいかがでしょうか。