ここ数年で消臭芳香剤の売上は右肩上がりに伸びています。
ホットな分野の一つですね。

消臭芳香剤は一家に一つは必ずあるでしょう。

*この記事も旧ブログ「問題解決中」のものです。実際に書かれたのは3年ほど前です。

 

うちも調べてみたらこんなにありました。

トイレ用消臭剤だけでなく、部屋用消臭剤やキッチン用、玄関用と種類も様々です。

製造・販売元も、小林製薬製株式会社、エステー株式会社、ジョンソン&ジョンソン、P&Gなどいろいろな会社から出されています。

奥のミッキーマウスの絵が付いている商品は消臭力の商標は付いていませんが、エステー株式会社さん(以下敬称略)の消臭剤です。

昔(平安時代頃からわりと近代に至るまで?)は、「匂いを別の強い匂いで隠す」というのがポピュラーな匂い消しの方法でした。

 

しかし、エステー株式会社の消臭力は、「匂いを消して、それから良い香りを付加する」という商品です。

非常に似た商品として、小林製薬株式会社の「消臭元」があります。

業界一位の小林製薬はかつては二位のエステー株式会社に圧倒的な差を付けていましたが、現在ではその差は埋まりつつあります。

その大きな要因は「ミゲル少年」や人気歌手・西川貴教を起用したCMでしょう。

しかし、忘れてはならないのが、「消臭力」という商標権の威力です。

そもそも、小林製薬株式会社によって「消臭元」という商標が同一指定商品において商標登録されていたので、後発のエステー株式会社が類似と思われる商標を同一指定商品において登録出来るなんて通常では考えにくいことです。

 

しかし、消臭力も消臭元も一見「その商品または役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に見えますが、商標法3条1項1号はクリアしています。

エステー株式会社にとって、残るは商標法4条1項10号と11号の問題です。

有名な先願登録商標である小林製薬株式会社の「消臭元」があるために、4条1項10号又は11号を理由に拒絶される可能性があります(商標法15条1号)。

しかし、エステー株式会社は、無事商標登録を受けています。

いろいろな商標登録出願の痕跡が残っており、エステー株式会社は、相当苦労されたことが伺われます。

「ショウシュウリョク」じゃなくて「ショウシュウリキ」と読ませるところもポイントですね。

晴れて商標登録を受けたおかげで、エステー株式会社は先願登録商標の「消臭元」の存在を気にすることなく、消臭力の販売をすることが出来るようになりました。

 

小林製薬が先を読んで商標権の防御網を張り巡らせておけば、この自体は防げ、エステーに奪われた数百億円規模の売上は自社のものとなっていたのかもしれません。

商標登録を得るために努力したエステーの商標戦略に脱帽です。

 

関係ありませんが、アツギとグンゼが同じ商標区分25類でそっくりな「消臭」という商標を出願して登録されています。何で登録されたのだろう?よくわかりません。

 

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