最近は弁理士試験受験生ではなく弁理士試験合格者からも相談を受けることが多くなりました。

弁理士試験合格者の質問ですから、勉強についての質問ではなくて、転職についての相談です。

 

20代〜40代で経歴に自信のある転職希望者(弁理士だけでなく特許技術者や特許事務員、特許翻訳者も)から相談を受けることもありますが、以下のような人の相談の方が切実です。

 

・50代の実務未経験弁理士
・ブランク有りの主婦弁理士
・特許事務所をパワハラで退職した弁理士

 

いずれも、”弁理士資格を持て余してしまっている”状態です。

弁理士資格を持っていても登録していない企業知財部員の場合はまた別の話なのでここでは置いておきますが、上記のような人の場合、放っておけません。

 

だって、この先どのように生きていったら良いのかわからなくて暗中模索している状態の人たちだから。

 

若い人たちや実務経験のある人たちならばそんなに心配はしません。

 

でも、実務経験が無い場合は、途端に就職が難しくなってしまいます。

 

今はどこの特許事務所も人手不足なので特許技術者枠なら40歳くらいまでは未経験でも入れますが、過去にパワハラを受けた経験のある人は特許事務所に転職することは躊躇してしまうでしょう。

 

一番悩ましいのが50代の弁理士です。

 

40代後半や50歳になってから弁理士試験の勉強を始める人がいます。

 

将来コンサルタントになりたいという人や、会社内に知財部を作りたいというような目標を持っている人ならば弁理士試験受験は大いにお勧めします。
(今現在そんな方たちに勉強を教えているのでワクワクしています!)

 

しかし、「弁理士になれば年収2000万円!年収3000万円も夢じゃない!」という受験予備校のキャッチコピーに釣られて弁理士受験を始めて弁理士になった人にはかける言葉がありません。

 

だって、受験予備校の甘い言葉は甘い罠だから。

 

弁理士資格を取っただけで年収2000万円超えなんてありえません。

しっかりとした実務経験の裏付けがあっての話です・・・。

 

それをきちんと伝えない受験予備校は不誠実だと思います。

いくら弁理士試験受験生が減っているからといって、取る必要がない人や取っても活用できない人にまで高い教材を売りつけることに罪悪感を覚えないのでしょうか?

 

50代の弁理士からの相談を受けているうちに、受験機関への不信感が募るようになってしまいました。

しかも、今では論文答練の採点のアルバイト代も一通600円だそうです。

私も受験予備校で論文の採点バイトをしていたことがありましたが、1000円は貰っていた記憶があります。(ちなみに昔は赤ペンと替えインクが大量に届いたのですが、今はオンラインでやっているそうですね・・・。昨年度合格者に笑われてしまいましたw)

 

もしあなたが今40代で知財業界で働きたいと考えたのなら、まずは特許事務所で働いてみることをお勧めします。
40代未経験でも特許技術者なら採用されます。

50代の場合も同じです。

コネを使わないとなかなか転職出来ないでしょうが、まずは特許事務所に入って実務経験を積むことをお勧めします。

そして、特許明細書書きとしてやっていけると実感したら、弁理士試験に挑戦するのが良いと思います。

もし明細書を書く仕事が自分に向いていないと思ったら、弁理士を目指すことは無いと思います。

 

弁理士資格を取る前に気づけて良かったと考え、また転職するのもありだと思います。

 

未経験で特許業界に来てまた転職・・・と聞くと何をやっているんだと思われるかもしれませんが、経験してみないとわからないこともあるでしょう。

それに、弁理士資格は取ったものの活用できないという状態は辛いです。

 

特に40歳を超えてから少ない時間をやりくりしてやっと取った資格が何の役にも立たないなんて悲しいです。

 

そんなわけで、これから弁理士になりたい!と考えているかたは、まずは特許事務所で実務経験を積むことを強くお勧めいたします。

 

なお、すでに50代で弁理士実務未経験の方は、とりあえず定年まで今の会社で勤め上げて定年後に特許事務所に就職という道もありかもしれません。

今すぐ転職して早めに実務経験を積むのもよいのですが、年収が半減してしまうのは痛いですから・・・。

その頃健康状態がどうなのか、気力が持つのか、60から修行を積んで独立出来るのか等心配事は山積みですが・・・。

 

現在弁理士または弁理士試験受験生で転職に悩んでいる方はお問い合わせよりご相談ください。

年齢が40歳を超えている場合はコネが無いと特許事務所への転職は難しいと思うので、私の知人の特許事務所を何箇所かご紹介いたします。

また、転職すべきかどうか悩んでいらっしゃる方もご相談ください。

少なくともビジネスとして人を転職させている転職エージェントよりは役に立つ助言を差し上げられます。