特許明細書とアートの類似性【弁理士ってカッコイイ!】

先日、ブログのイラストを描いてくださっている画家さんの個展にお邪魔してきました。

気づけば、お会いするのは半年ぶりでした。

今は中国での展覧会が始まるとかで上海へ飛んでいらっしゃいます。

 

アルファベット屏風
アルファベット屏風

作品を見ながら「一点一点テーマがあって、面白い&美しいな」と感じました。

 

『サッカー日本代表』(笑)
『サッカー日本代表』(笑)

どれも一品制作物です。2つとして同じものはありません。

 

魂を込めて描いている作品を手放してしまって惜しくないのか疑問に思ったので尋ねてみたら、「むしろたくさん売れてほしい。沢山の人の目に触れられると僕も嬉しいし作品も喜ぶ。お金も入るし。」とおっしゃっていました。

 

めっちゃ現実的!

 

アーティストの方々って、なかなかそれ一本で食べていくことはできないので、作品をたくさん生み出してそれで生計が成り立つのは良いことだなと納得しました。

 

堀さんの考え方は、理想や妄想の暴走になりがちなアートを地に足についたものとしている点で好感が持てます。
(もちろん、お金にならないことを追求するのも良いと思います。ただそれでは生活していけないので、一般受けしない作品制作をしていきたいなら本業としてではなく副業としてやったほうが良いだろうなと思います)

 

さて、絵画というアートを目にした後、私は弁理士が生み出す明細書にもアート性は存在するのではないかと思いました。

 

確かに「独自性」は薄いかもしれません。

しかし、創作物としての美しさは備えていると思うのです。

 

美しい明細書は人の心に訴えかけるものがあります。

 

絵を描けない人でも絵の美しさは理解できるように、明細書を書けない人でもある程度明細書というものを知っていれば、明細書の美しさを理解できます。

そして、無駄を一切省いたシンプルで美しい明細書は人の心を打ちます。

 

よく弁理士は、「知的財産のプロフェッショナル」みたいな言い方で表現されることが多いですし、それはそれで良いと思うのですが、特許明細書こそ、弁理士の仕事の醍醐味だと思います。(商標や意匠、著作権に注力している弁理士がかっこ悪いという意味ではありません。この仕事の魅力についてはまた別記事で書きます)

 

ドラマに出てくる弁理士は、弁護士/弁理士であって、弁理士とはちょっと違います。

しかし、特許に関する訴訟で「異議あり!」と法廷で叫ぶのが弁理士・・・というイメージが付いてしまっている気がします。

それはそれでカッコイイのかもしれませんが、実態を適切に表していないなと思いました。

 

 

弁理士の仕事は、明細書という文書を書くことです。

それは、無味乾燥な文の羅列に見えるかもしれません。

 

しかし、力を抜いてテキトーに書いた明細書はそうかもしれませんが、魂を込めて書いた明細書は違います。

アート性を発揮しています。

 

そのため、見た人はワクワクします。

 

これは、企業知財部の方ならわかるのではないでしょうか。

発明発掘をして出てきたものが、漏らすこと無く表現されている。

しかも一段と高い表現で・・・。

 

こんな美しい明細書に出会ったら、つい、ニンマリしてしまうと思います。

 

こんなアートを生み出せる弁理士はそれほどいないでしょう。

 

センスを持った人が何年も修行を積んでそして到達できる境地です。

人によっては何十年修行しても到達できません。

そんな世界です。

 

誰もが到達できるわけではないその境地。

 

だからこそ、弁理士なら憧れてしまうと思います。

 

そして、憧れなければいけないと思います。

だって、それが弁理士としての矜持なのだから。

 

仕事に誇りを持てず、ただ割り振られた仕事をこなしているだけだと、仕事がつまらなくなってしまいます。

一方、一つ一つの仕事を「アート作品を仕上げる」という気概で挑めば、アートを生み出すことが出来ます。

 

そうして生み出されたアートはお客様から正当に評価してもらえないものかもしれません。

 

しかし、良い明細書を書き続ければ自然とアートを生み出そうというプライドが身につくと思います。

 

そして、そのプライドが更に良い作品を生み出させてくれると思うのです。

 

アートを生むには産みの苦しみがあります。

ときには、3日で3件仕上げてくれという無茶な注文もあるでしょう。

 

そんなときに「質を担保するために一件だけお受けします」と言えるような弁理士が、ずっとアートを生み続けることができる人なのだろうなと思います。

 

そこを、「せっかくきた仕事だ」ということで力を抜いて全部引き受けてテキトーなことをしてしまうと、自分も楽しくないし、お客様の信頼を失ってしまうのではないでしょうか。

 

アーティスト弁理士。

カッコイイじゃないですか。

 

私は一時期、「せやかて工藤、弁理士なんて仕事地味やしエライだけやで。明細書なんて邪魔くさい。エエか、工藤。なるなら企業知財部員やで!特許事務所なんておもろないわ。」と気持ちが萎えていました。

新一に電話をする服部(『名探偵コナン』50巻より
工藤新一に電話をする服部(『名探偵コナン』50巻より。件数は事件の解決数であって明細書作成件数ではない。


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パワハラ特許事務所の話とか他者批判を繰り返す弁理士の話は転職相談のときにたくさん聞きましたから・・・。

こっちが泣きそうになるわ!

 

ところが、「すごい弁理士がいる」という噂を聞き、心が奮い立ちました。

たくさんの一流弁理士を生み出した60代の所長弁理士さんです。
明細書作成能力は超一級。

そして、何よりめちゃくちゃ人格者なのだそうです。

 

ここがポイントですね!

人格も実力のうちなのかもしれませんが、やっぱり人を気分良く働かせることができる人っていいですね。

素敵な人の周りには素敵な人が集まってきます。

 

知財業界、特に弁理士業界の活性化(弁理士試験受験者数の増加)のため、ブログでこんな素敵な人たちのご紹介をしていこうかなと思います。

弁理士って弁護士とは違ってあまり表に出て来る仕事ではないので、弁理士の魅力を少しでも伝えていきたいです。