*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

問題解決をするといいながら、最近は知的財産権のことしかブログに書いていない福田です。

 

今日は久しぶりに問題解決をしてみたいと思います。
といっても知的財産権絡みなのですが。

 

ゴーストライター騒動で時の人となった佐村河内守氏がジャスラックに楽曲使用料を請求しています。

 

佐村河内氏の曲は、ゴーストライターである新垣隆氏が創っていたわけですから著作権は誰に存在するのかよくわからない状態になってしまっています。

 

したがって、JASRACは楽曲使用料の分配も停止し、佐村河内氏との著作権管理契約も解除していました。

 

しかし、佐村河内氏はJASRACに対し、著作権管理契約解除 前の楽曲使用料について請求しています。

 

ここで問題となるのは、以下の4点でしょう。

 

①そもそも誰が著作権者であり、ジャスラックから楽曲使用料を受け取る権利を有するのか

②ゴーストライターの作品を自己の作品として発表することは詐欺ではないのか

③(①と②を合わせ)そもそも詐欺をしていた人物が楽曲使用料を請求するなんて許されないのではないのか

④楽曲使用料が支払われない場合、ジャスラックが金銭を保有することになってしまうのか

まず、①についてですが、著作権法には著作者の推定(著作権法14条)という規定があり、一応佐村河内氏が著作権者であると推定されます。
もちろん推定に過ぎないので、新垣氏が「私が正当な著作権者だ」と主張すればその推定は覆ります。

報道記事などを読んだ限りでは、新垣氏は著作権については権利放棄をしているようですから著作権者は佐村河内氏なのでしょう。
契約書の存在があれば完璧ですが、「黒い」契約なので契約書なんて存在せず、口約束だけかもしれませんね。

 

②について語る前に著作権法121条について記載しておきます。著作権法における罰則規定です。

第百二十一条  著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

佐村河内氏が新垣氏が創った曲を自分が創った曲だと主張するだけなら著作権法121条には引っかかって来ないのですが、著作物の複製物であるCDなどが頒布されてしまっていますから、「私は関係ない。業者が勝手に売ったことだ」という言い訳は通用しないと思います。
佐村河内氏は何らかの形で罪を償う必要があるでしょう。

 

③については、人間の心理としてそう考えてしまいたくなりますが、詐欺の罪と著作権の帰属は別々に考えるべきでしょう。

④については、ジャスラックが不当利得を得ることになってしまうのでは?と危惧してしまいますね。

 

これらの事実を踏まえて、どうするのが「我々一般人にとって」ベストなのか考えてみたいと思います。

佐村河内氏や新垣氏やジャスラックにとってではありません。
「我々」にとってです。

 

私、福田の私見ですが、お金を受け取るべきなのは「騙されて曲にお金を支払った人たち」
であるべきだと思います。

障害を持ちながら作曲したというストーリーに感動してCDを買ったのであり、障害がなかったら買わなかった可能性も高いわけですから。

 

我々が怒っているのは、佐村河内氏が詐欺を働いたことと、それについて(社会的制裁はともかく)刑事罰を受けていないことによるものですので、JASRACから著作権使用料を受け取るようなことになったら、「盗人猛々しいわっヾ(`Д´*)ノ」と思ってしまいます。

 

ですから、楽曲使用料はいったん佐村河内氏が受け取り、そのお金を国に渡せば私たちの気持ちは収まると思います。

 

まあ、佐村河内氏が受け取ったお金を国に渡すわけがありませんから、ジャスラックが支払うべきお金は一種の補償金としてジャスラックが直接国に納めてしまったらどうでしょうか。
我々としてはお金が宙ぶらりんの状態でジャスラックにとどまっているのも嫌なので、国庫に納めて有効利用してほしいと思います。

 

今回のゴーストライター絡みの著作権についてもう少し学びたいという方は、メインサイトをご覧ください。
ゴーストライターの著作権

 

音楽のゴーストライターの話ではなく、文章のゴーストライターの場合について説明していますが、どちらも同じ創作と著作権にかかわることですので役に立つと思います。