国内優先権で引っかかりやすいところ

特許法に関し、弁理士試験初学者の方からよく質問を受けるのが29の2と国内優先権です。

国内優先権については弁理士短答式試験だけでなく、論文試験、口述試験でも頻出ですので基礎を確実にしておきましょう!

 

Q.国内優先権の主張を伴う出願をした場合、基礎出願はいかなる場合でもその出願の日から1年4月を経過した時に取り下げられたものとみなされる?

A.国内優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から1年4月を経過した時に取り下げられたものとみなされるのが基本です。ただし、以下のいずれかに該当する場合については、この限りではありません(特許法第42条第1項、特許法施行規則第28条の4第2項)。

・先の出願が放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
・先の出願について査定又は審決が確定している場合
・先の出願について実用新案登録の設定の登録がなされている場合
・先の出願に基づく全ての国内優先権の主張が取り下げられている場合

なお、パリ優先権の場合には、第一国出願は正規の出願でありさえすれば、取り下げ、放棄又は拒絶があったとしても優先権の基礎とできます

 

以下の場合は国内優先権を主張できないので覚えておきましょう!

基礎となる出願が以下のいずれかに該当する場合
・出願の分割の子出願(第四十四条第一項)
・実用新案登録若しくは意匠登録からの変更による特許出願(第四十六条第一項若しくは第二項)
・実用新案登録に基づく特許出願(第四十六条の二第一項)
・実用新案登録出願の分割の子出願(実用新案法第十一条第一項 において準用する特許法第四十四条第一項)
特許若しくは意匠登録からの変更による実用新案登録出願(実用新案法第十条第一項 若しくは第二項)
・基礎となる出願の特許出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
・基礎となる出願の特許出願の際に、査定又は審決が確定している場合
・基礎となる出願の特許出願の際に、実用新案法第十四条第二項 に規定する設定の登録がされている場合

※パリ優先権の場合とは異なり、国内優先権の主張の基礎とされる先の出願は我が国における最初の出願である必要はありません。

なお、国内優先権制度の趣旨についてはスラスラといえる用になっておきましょう。

【国内優先権制度の趣旨】
特許法第 41 条に規定される特許出願等に基づく優先権制度とは、既に出願した自己の特許出願又は実用新案登録出願の発明を含めて包括的な発明としてまとめた内容を、優先権を主張して特許出願をする場合には、その包括的な特許出願に係る発明のうち、先の出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている発明について、新規性、進歩性等の判断に関し、出願の時を先の出願の時とするという優先的な取扱いを認めるものである。
本制度により、基本的な発明の出願の後に、その発明と後の改良発明とを包括的な発明としてまとめた内容で特許出願をすることができ、技術開発の成果が漏れのない形で円滑に特許権として保護されることが容易になる。また、本制度により、先の出願を優先権の主張の基礎とした特許協力条約(PCT)に基づく国際出願において日本を指定国に含む場合(PCT 第 8 条(2)(b)。いわゆる「自己指定」の場合)にも、優先権の主張の効果が我が国において認められることになる。

【国内優先権の主張の主体的要件】
・国内優先権を主張することができる者は、特許を受けようとする者であって、先の出願の出願人である(第 41 条第 1 項本文)。
したがって、先の出願の出願人と後の出願の出願人とが後の出願の時点において同一であることが必要である。
なお、出願人は、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、後の出願の際に、その者の承諾を得ていることが必要である(同条第 1 項ただし書)。

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特許出願等に基づく優先権主張
第四十一条 特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
一 その特許出願が先の出願の日から一年以内にされたものでない場合(その特許出願を先の出願の日から一年以内にすることができなかつたことについて正当な理由がある場合であつて、かつ、その特許出願が経済産業省令で定める期間内にされたものである場合を除く。)
二 先の出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願若しくは第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願又は実用新案法第十一条第一項において準用するこの法律第四十四条第一項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは実用新案法第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願である場合
三 先の出願が、その特許出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
四 先の出願について、その特許出願の際に、査定又は審決が確定している場合
五 先の出願について、その特許出願の際に、実用新案法第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合
2 前項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係る発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項(これらの規定を同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)についての第二十九条、第二十九条の二本文、第三十条第一項及び第二項、第三十九条第一項から第四項まで、第六十九条第二項第二号、第七十二条、第七十九条、第八十一条、第八十二条第一項、第百四条(第六十五条第六項(第百八十四条の十第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第百二十六条第七項(第十七条の二第六項、第百二十条の五第九項及び第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、同法第七条第三項及び第十七条、意匠法第二十六条、第三十一条第二項及び第三十二条第二項並びに商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第二十九条並びに第三十三条の二第一項及び第三十三条の三第一項(これらの規定を同法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、当該特許出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。
3 第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願にあつては、外国語書面)に記載された発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項(これらの規定を同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)については、当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして、第二十九条の二本文又は同法第三条の二本文の規定を適用する。
4 第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

先の出願の取下げ等
第四十二条 前条第一項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げたものとみなす。ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願について査定若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について実用新案法第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合又は当該先の出願に基づく全ての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りでない。
2 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の出願人は、先の出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した後は、その主張を取り下げることができない。
3 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願が先の出願の日から経済産業省令で定める期間内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。