バイラルメディア(spotlightなど)やキュレーションサイトと呼ばれる所謂まとめサイトでは多くの著作権侵害行為が日常的に行われています。

*これは旧ブログ「問題解決中」の記事です。

どうやら、まとめサイトのライター(キュレーター)にそもそも転載と引用の区別がついていなかったり著作権の無断転載は犯罪だという意識が欠けていることと、運営者側がそれを野放しにしているのが原因のようです。

 

Naverまとめのようなキュレーションメディアはそもそも著作権法的に適法なのでしょうか?

 

「みんなが利用しているから適法」
という考え方はすべきではありません。

みんなが渡っていたって車が近づいてきているのなら、赤信号は渡るべきではないのと同じです。

命という代償を支払うことになりますから。

 

ですから、「みんながやっているから自分も他人の画像や文章を勝手に使ってもOKだろ」という考えは非常に危険です。

集団訴訟を起こされたり、見せしめのために訴えられる可能性もありますから。

 

2ちゃんねるに載っていたからといってその記事を自分のブログに転載してしまうと、2チャンネルのスレッド自体が既に著作権侵害なので、必然的にブログへの転載も著作権侵害となります。

 

”引用”にはなりません。

 

たとえば、ある漫画家の漫画の一部が「この展開はあり得ない」という短い文章を添えられて2ちゃんねるに無断転載されていたとしたら、無断転載された漫画家は、無断転載した人に対し、その記事の削除を要請出来ますし、無断転載した人の情報開示を2チャンネルに求めることができます。

 

さらに、権利者(この場合は漫画家)は、2ちゃんねるの記事を転載した人に対しても同じような請求をすることが出来ます。

 

まとめサイトに無断転載されたブログやサイトの運営者も著作権者としてまとめサイトやそのライターに対し同じ請求をすることができます。

 

まず、該当記事の削除を要請することが出来ます。

 

また、削除要請に応じなかった場合は差し止め請求を出来ますし、転載が原因で減った閲覧数や収入は被った損害として損害賠償請求することが出来ます。

 

ただ、その額は微々たるものです。多くて数万円でしょうか。通常は数百円くらいかもしれません。
そのような賠償額を得るために裁判を起こすと、弁護士費用の方が高くなります。

数十万円かかるでしょう。
それでは大赤字です。
個人にはかなりの痛手となるのでキュレーションサイトを相手に個人が裁判を起こすということはやりにくいと思われます。

 

やるとしたら、著作権を侵害されたブログやサイトの運営者たち数人が集まって集団で訴訟を起こしたり、ボランティアで弁護を申し出てくれる弁護士の協力を仰ぐという形になるでしょう。
(なお、著作権法はちょっと特殊な法律なので、弁護士だからといって誰でも知っているというわけではないことには注意をしたほうがいいかもしれません。)

 

さて、今度は著作権侵害をした人の責任について書いてみます。

 

まとめサイトやバイラルメディアでライターが他人の著作物を勝手に転載した場合、その責任はライター自身にあるのでしょうか。

サイト運営者にあるのでしょうか。

 

答えを述べる前に、まとめサイトの収益構造について書きます。

 

バイラルメディアでは、ライターに報酬を支払っています。

それ以上に儲けがあるからです。

 

ライターは短時間でたくさん稼ぐために、手っ取り早く他人のサイトから著作物を盗んできます。

 

それにより、短時間で多くの記事が量産され、バイラルメディアまたはキュレーションメディアのPVがアップします。

 

しかし、ここで気をつけなくてはいけないのは、ライターが著作権侵害を行うと、バイラルメディア側が責任を取らずにその責任はライター個人に転嫁されてしまうということです。

 

言い方を変えると、バイラルメディアの運営者は、他人の著作物の無断使用で儲けておきながら、プロバイダ責任制限法を盾に取り、著作権侵害の申し立てがあると、ライターの責任にして逃げています。

 

実際に自分がライターで著作権侵害をしてしまった場合にはどうすればいいのでしょうか。

 

プロバイダ責任制限法3条1項2号によると、「他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき」には、運営側も責任を負うことになっています。
そのため、正当権利者から著作権侵害で訴えられたときは、責任はすべてライターが負うわけではなく、運営者もその責任を負うことになります。

 

金銭の額でいうと、半分半分でしょうか。

 

薄給のライターが著作権侵害の賠償金を支払うとそれだけで赤字です。
たとえ運営者に賠償額の半分を肩代わりしてもらったとしても大きな損失になります。

 

ですから、ライターさんは、決して他人の著作物を無断で利用しないように気をつけてください。
またバイラルメディアやキュレーションメディアの運営者も、他人の著作物を利用してお手軽なお金儲けをせずに、自らの頭脳で儲けを生み出してほしいものです。

 

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