特許権を侵害した(との疑いがある)企業に立入検査をする制度が設けられることになりました。

 

裁判所が選ぶ中立的な立場にある専門家が被告側の現場を調べ、特許権を侵害した企業にある証拠(実験や計測結果など)を押さえることができます。

 

欧米諸国では既に導入されていることから「国際基準に合わせた」といういつものアレです。
「国際ハーモニー」というキーワードです。

 

これにより、特許侵害を立証しやすくなり、更なる知財立国へ・・・

という目論見はありますが、なかなか難しそうです。

 

そもそも、特許法では既に、特許権が侵害された場合の過失の立証責任は被告側にあるとする規定が存在します(過失の推定。特許法103条)。また書類の提出命令もされます(特許法105条)。

 

しかし、被告企業内部で行われる「製造方法」やソフトウエアなどに関しては過失の立証が困難です。

 

そんなわけで、新しい制度が新設されるわけですが、もちろん制度の濫用を防ぐため「他の手段では証拠が十分に集まらない」「被告の負担が過度にならない」などの要件を満たした場合に限り、立ち入りを認めることになっています。

これは当然ですね。

被告側の営業秘密を守るため、特許侵害と関係ない部分は報告書を一部黒塗りにするなどの対策を講じるそうです。

 

・・・が、この制度の実際の運用はなかなか難しそうですね。

 

というのも「中立的な専門家」に任命するのが難しそうだからです。

 

特許侵害と関係ない部分は報告書を一部黒塗りにして発表するとはいえ、専門家は黒塗り前の機密情報を得ることができてしまいます。

 

すると、そんな美味しい情報は「使いたい」「漏らしたい」という気持ちになっても仕方がないといえます。

人間だもの。

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企業だって他人には営業秘密等を見せたくはないですよね。

 

だから、秘密を開示した相手の動向が気になって、ずっとチェックしてしまうと思います。

「こいつ、うちの企業秘密をビジネスに使ったりしないだろうな・・・」と。

 

そんなわけで、被告企業からは嫌われるしストーキングされるし(?)・・・というわけで、中立的な立場の専門家に声をかけても及び腰になる人が多いのではないかな・・・と思いました。

 

知らんけど。

 

諸外国はどうしているのでしょうね。
気になります。

 

なお、特許侵害が立証された後の賠償額の算定方法も見直されます。

 

御存知の通り、現在、原告企業は自社の生産能力に相当する範囲でしか賠償額を定められないわけですから、中小・ベンチャー企業が特許侵害を訴えても、賠償額は「生産能力に相当する範囲」=ほんの少し、なんですよね。

 

しかし、制度改正後は被告企業が特許権を侵害して販売したとされる製品の全数量を賠償請求の対象にできるようにし、賠償額を事実上引き上げるのだとか。

 

これは手放しに、ブラヴィー!!