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子供がお箸を使い始めると、箸の正しい持ち方を覚えさせるため、幼児用のトレーニング箸を購入することがあると思います。

うちには子供が3人もいるため、幼児用の箸は何度か購入したことがあります。

 

さてさて、この幼児用のトレーニング箸ですが、有名な商品として「エジソンの箸」という商品があります。
箸の持ち手にリングがついていて正しい持ち方の練習をするというものです。

 

このエジソンの箸という幼児用の箸を製造販売している会社が、平成28年4月27日に同じく幼児用箸を製造販売しているスケーター株式会社を訴えました。

 

幼児用箸の図面と製品の著作権(複製権または翻案権)を侵害するとして差止請求・廃棄請求及び損害賠償請求を求めたのです。

 

ここで、エジソンの箸ってどんなものか見ていただきたいと思います。


見ての通り特徴的な箸ですよね。

 

エジソンの箸の会社も、作者の個性が発揮されていて創作性が認められるから「美術の著作物」だと主張しています。

とはいっても、通常指を添える位置にリングを設けただけです。リングの配置等には実用的な工夫はありますが、美的鑑賞の対象となり得るような何らかの創作的工夫がなされているとまでは言えないでしょう。

 

 

さて、ここでスケーター株式会社の幼児用箸も見てみましょう。

箸の持ち手の部品がそっくりですね。

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どちらの箸も似通っています。そのため、エジソンの箸の会社としてはスケーター株式会社を訴えたくなるのも理解できます。

ただ、私個人としては、とてもではありませんが、このような箸を美術の著作物として認定することなど出来るわけがないと思います。

というか認めてはいけません。

特に、幼児用箸の図面の著作権(複製権または翻案権)の侵害だなんて無茶苦茶です。建築の著作物じゃないんですから・・・。

もしもこんな訴えを認めてしまったら、類似の訴訟だらけになって裁判の渋滞が起きてしまいます。

 

 

では、東京地裁及び知財高裁ではどのような結論が出たのでしょうか。
Tripp Trapp事件のように応用美術として箸の著作物性を認めたのでしょうか。

エジソンの箸が「美術の著作物」に該当するとしてスケーター株式会社は著作権を侵害していると結論付けたのでしょうか。

 

東京地裁及び知財高裁では原告の請求を棄却しています。

 

つまり、エジソンの箸の美術の著作物としての著作物性を否定しています。

 

理由は、東京地裁では、「幼児の練習用箸としての実用的機能を実現するための形状ないし構造であるにすぎず、上記実用的機能を離れて美的鑑賞の対象となり得るような美的特性を備えているということはできない」と判示されました。

 

また、控訴審では、「美的鑑賞の対象となり得るような何らかの創作的工夫がなされているとは認め難い」と判示されました。

 

納得できる結論です。

 

やはり、実用品に過ぎないものに美術の著作物としての著作物性を認めてはいけません。

ホッとしました。

 

この判決により似たような理由で裁判を起こすことが減ることを期待します。
・・・といってもTRIPP TRAPPの例があるのでやはり訴えたほうが得ですよね。
う〜ん、TRIPP TRAPPはちょっと罪作りなことをしましたね・・・。
いや、画期的な判決なのか。

 

なお、私はいつもどおり、単に法律的に考えてこのような結論であることを望んだだけで、個人的に幼児用箸を製造販売している会社を嫌ったり逆に贔屓しているということはありません。念のため・・・。