ティラミスヒーローと商標登録と弁理士の仕事

ここ数日仕事に追われ、子どもを連れて出かけることも多くて、帰ってきてからも家事育児を優先しブログ更新をしていませんでした。

 

ところが、一週間近くブログ更新をしていないのに、昨日はやけにトップページへのアクセスが多く、「何を求めて来てるのかな?」と思っていたら、LINEで「ティラミスヒーローの記事書かないの?」と尋ねられたので、「ティラミスヒーロー」についての記事を探しに来てくれたのかなと思いました。

 

わざわざ記事を探しに来てくださった方、ありがとうございます。

 

一通り騒ぎが終わってしまって今更書いても・・・、という感じですがせっかくですからちょっと書いてみたいと思います。

 

ティラミスヒーロー事件を簡単に説明すると

 

日本の菓子メーカーが「企業戦略の一環」として、シンガポールの有名なお菓子「ティラミスヒーロー」のブランドロゴを勝手に商標登録し、本家であるティラミスヒーローがロゴを使えなくなったというお話です。

 

「企業戦略の一環」・・・って、他者の商標を企業戦略として商標登録出願するなんて、あの会社その会社を思い出してしまうじゃないですか・・・。

 

ティラミスヒーローがロゴ変更で困っていることをツイッターなどで明かすと、ネット上でメーカーへの批判が相次ぎ炎上状態になり、これに対しメーカー側は、ロゴの使用権を渡すことをサイト上で発表し、謝罪しました。

 

THE TIRAMISU HERO」 のロゴ(登録番号第6073226号)に関しましては、シンガポールの日本側運営会社に対し、その使用権をお渡しする所存でございます。
皆さまにお騒がせ致しまして誠に申し訳ありませんでした。

HERO’Sのホームページではこんな風に書いてあります。

 

・・・「ロゴの使用権をお渡しする」・・・って一体・・・。

わざと書いたのか法律用語を知らなくてこんな風に書いてしまったのかわかりませんが・・・

 

誰か発表前にチェックする人いなかったんか・・・
いや、そんな人がいたらそもそもこんな騒動は起こってないわな・・・

 

なお、たしかに他者の商標を勝手に出願する人も悪いけれど、「商標を使っているのに登録せずに放置している」方にも落ち度はあるわけですからこういう「商標権第三者により横取り事件」を防ぐためにも、企業は予め商標登録をしておくべきでしょう。

(元祖の商品を買おうと思ってくれる人がたくさん現れるので、マーケティングとして考えてあえて商標登録をしないということも考えられますが、ちょっとリスクが大き過ぎるような・・・)

 

商標登録出願前に代理人がすべきこと

ちなみに、外国の著名商標については本来商標登録できません(商標法4条1項)。

 

しかし、商標登録されてしまいました。

 

まあ、単なる特許庁側の見落としですね。超有名というほどではなかったので仕方ないかもしれません。

 

あとは、代理人である弁理士がロゴデザインなどについて「パクリではないかどうかの確認」をしなかったのも原因でしょう。

 

・・・が、代理人にここまで求めるのは酷な気もします。

 

でも、一言聞けばいいだけなのだから、これからの弁理士はそういうことをしていくのもいいのかもしれませんね。

 

 

そうそう、昨日会いに行った弁護士さんは「最近の若手弁護士は、よく確認もせずにクライアントの言い分をそのまま鵜呑みにし、他者に警告書を送りつけ、逆に脅迫罪などで問題になるケースがある。これは事前にクライアントによく確認しておけば防げる事態」とおっしゃっていました。

 

これは、クライアントのためになるだけでなく弁護士のためにもなるので金言ですね。

 

 

ところで、昨日は法律事務所に子どもを連れて行ったのですが(基本的に子どもを見なくてはいけないので100%お仕事のとき以外は私は子ども連れです)、子どもを連れて法律事務所に行く人ってどう見られているのだろうと、ふと気になりました。

 

 

その後、仕事半分雑談半分という感じで弁護士/弁理士さんと話をしていたのですが、特許や商標の話をしたら、「特許とか商標の話って難しくて弁理士さんほどわからない」とおっしゃっていました。

 

クライアントの前だったらこんなこと言わないだろうけど、正直にそんなことを告白してくれたので、
ちょっと、正直過ぎるでしょ・・・それだけ立派な経歴を持っていながら謙虚でどんだけ性格エエねんと思ってしまいました。

 

・・・でも、飾らないそんなあなたが好きです。