安い商標出願サービスの見つけ方

安いと思って何らかのサービスを利用した後に、「全然安くなかったし説明もあいまいだったからモヤモヤする・・・」そんな感想を抱いたことはないでしょうか。

日常的に利用するサービスなら消費者の目が厳しいため明確な料金体系をとっているサービスが多いといえます。しかし、利用頻度が低くなる or 専門度が高くなるに連れて料金は比較が難しくなる傾向にあります。

たとえば、チラシを見れば今日はどこのスーパーで醤油が一番安いのか比較できます。
ところが、タイヤ交換だといまいち料金がわかりません。種類や前輪後輪によって金額が変わるため、普段タイヤをそこまで意識していない人たちは、目立つ最低料金を見て判断する傾向にあります。

これと同様のことが商標申請でも起きます。
たとえば、「出願手数料が5千円」と記載してあったら「安い!」と飛びついてしまうでしょう。
しかし、待ってください。
弁理士料金は本当に5千円だけですか?別途高額な「登録手数料」やその他の料金を請求されませんか?

弁理士料金を比較するときに見るべきは合計手数料です。
たとえ出願手数料が5千円でも登録手数料が4万円だったら、出願手数料が2万円・登録手数料が2万円のサービスより合計金額が高くなってしまいます。

したがって、料金を比べるときは必ず合計料金を比べるようにしてください。

 

以上値段について見てきましたがサービスについてはどうでしょう?
多くの弁理士は信頼できるのでサービスの質について過度に心配することはありません。
あなたの大切なビジネスを守るのですから、自分でやるよりは絶対にお勧めです。単純に「商標の出願書類を特許庁に提出する」だけならだれにでもできますが、「ビジネスを適切に守る商標権を取得する」ことができるのは専門家である弁理士だけです。

しかし、弁理士が忙しすぎる場合、サービスの質がグッと落ちる危険性があります。たとえば、一件一件の案件に時間をかけずに多数の商標を出願する格安商標出願サービスでは最低限の質は担保されていますが高い質は期待しない方が良いでしょう。(高ければ絶対に良いというわけでもないので難しいところですが・・・)

したがって、見積もりを請求することに加え、事前に様々な質問をすることをお勧めいたします。
疑問にきちんと答えてくれるかどうかが質を見極める一つの指標となります。
ただし、正式依頼前の詳細な質問は嫌がられるので、支払い前または契約前には常識の範囲内での質問に留めてください。

また、後から予想外の請求をされることを避けるためにも事前に登録可能性と特許庁とのやりとりにかかる金額についてしっかりと説明をしてくれる弁理士を選んでください。もし登録可能性が低い場合、特許庁から拒絶理由通知という通知が来る可能性が高くなります。これに対応するためには補正書や意見書の提出が必要となりますが、かなり高額です。場合によっては拒絶査定を特許庁から受ける可能性もあり、その場合高額な審判請求手数料が必要となります。
そのため、事前コンサルティングは必ず受けてください。

出願前相談(コンサルティング)に時間を割いてもらえず、気になる点について確認せず言われるがままににお任せしてしまうと、せっかく商標登録されても権利の保護が弱く、商標権取得後にトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。
例えば、本当は取るべき商標区分が25類だったのに、とりあえず別の区分で商標権をとってみた場合です。
この場合、自分の行っているビジネスと商標権が守っているビジネスに乖離が生じます。
すると、自分が正当権利者のはずなのに競合他社から商標権侵害の損害賠償請求をされる危険性があります。
実際にこのようなことが起きています。

たとえば、アマゾンセラーが自分のビジネスを守るために商標権を取得しようと考えたとします。
まずは弁理士にビジネスの説明をして適切な区分を決めてもらうのですが、適切な区分で商標権を取れる可能性が低い場合、弁理士はそのことを説明し、商標の変更を勧めたりします。しかし、商標の変更には時間がかかります。簡単に決められることではありません。
こんなとき、倫理観の低い弁理士は手数料目当てで「とりあえずの出願」を勧める可能性もあります。
この「とりあえずの出願」が曲者(くせもの)です。
上述したように適切な区分で守ることができていないため、意味がないからです。
こうした例は弁理士料金を節約するために自分で商標申請した場合にもよく起こります。

結果として、適切な区分で商標権を取得した第三者に正当権利者であるはずの自分が訴えられるということが起きてしまいます。

大企業ではこんなトラブルはまず起きません。法務部や知財部がしっかりしているからです。
一方スモールビジネスでは区分間違い等出願ミスが頻発しています。第三者から目を付けられた場合の損害賠償請求額は数十万円から数百万円程度のことが多めです。
額は少ないとはいっても個人事業主や小規模ビジネスオーナーには痛い出費です。

数万円の弁理士料金を節約しようとしたために却って大きな損害を招くという悲劇です。

とはいえ、商標権を取得するために十万円以上も弁理士料金を支払いたくはないでしょう。

ではどうすればよいか、というと「①必ず合計料金の見積もりをとる。②心配事は全部聞いてみる③複数の弁理士から見積もりをとる(またはウェブサイトに記載されている料金を比べる」ことです。

これで「想定外に高い料金の支払い」から免れることができます。
あとは、対応してくれた人が気に入ったからという理由で依頼するかどうかを決めても良いでしょう。
基本的に弁理士は良い方たちばかりなので嫌な思いをすることはまずないと思います。

そうそう、たまに難しい案件については格安商標出願サービスでは断られることがあります。時間がかかりすぎて割に合わない仕事であるため数をこなしたい格安商標サービスでは対応できないのです。
そんなときはコンサルティングに力を入れている弁理士に相談されることをお勧めします。
なぜ出願しても登録の可能性が低いのか、どうすれば商標登録されるのか、将来的にトラブルが起きる可能性等について詳しく聞いてみてください。
そして、納得出来たら出願依頼をしてください。もし、「時間がかかるのはわかるけど高すぎるなあ。本当にこれが適切な金額なの?」と悩まれた場合にはどうぞご相談ください。

 

弁理士の立場から説明すると、できるだけお客様のビジネスを守ってあげたいと思います。
同時に、あまりにも手間のかかり過ぎる案件は安すぎる値段では受けられないというジレンマもあります。

弁理士目線だと、「簡単な案件は時間がかからないので一万円で受けても良いけれど、難しい案件については手間暇かかりすぎるので5万円はもらわないと割に合わない」となります。
なので、一番質と金額が比例するのは、固定金額性ではなくタイムチャージ式での請求だと思います。
しかし、それには事務手数料が余計にかかってしまうため、タイムチャージで請求する弁理士はあまりいないと思います。

以上いろいろと述べてきましたが、将来的なビジネスの成長も考慮に入れ、強い商標権を取得したい方は、あなたの商標とビジネスについて記載しお問い合わせください。費用とのバランスについて基礎からご説明いたします。

また、なるべく早く商標権を取得したい方、商標申請書類についてチェックをしてほしい方、拒絶理由通知が来て困っている方もお気軽にお問い合わせください。