SMAPの解散後、元メンバーはSMAPという商標を使えなくなっています。

そして、ファンも自由にSMAPという言葉を使えないという噂がまことしやかに囁かれています。

 

SMAPの解散騒動に関連した嘘記事や勘違い記事をおもしろおかしく扱っている個人ブログやSNSの投稿も多いので、この機会に、SMAPと商標問題についてファンの方に知っておいてほしいことを商標法的側面から説明したいと思います。

SMAPの元メンバーは「SMAP」を使えないのか

まず、この点については、「商標権が取られている範囲では使えません」。

コンサートなどで使うことが許されないことから、実質的にはSMAPを使えないと考えて良いでしょう。

 

SMAPの元メンバーが「SMAP」を使う方法

では、どうすれば使えるようになるか?というと、商標権者であるジャニーズ事務所と商標の使用ライセンス契約を結ぶか、ジャニーズ事務所から商標権を買い取る必要があります。(後述するように別の方法もあります)

しかし、事務所と仲違いしている場合はライセンス契約を結ぶことは難しいでしょうから、商標権を買い取ることになります。

ただし、商標権を買い取る場合もなかなかジャニーズ事務所側が首を縦に振ることはないでしょうから、結局、SMAPはSMAPとして活動ができないということになります。

 

ファンの方たちがSMAP商標を買い取るという動きもあるようですが、やはり難しいでしょう。

 

なお、「SMAPのこれまでの事務所への貢献度を考えたら、ジャニーズ事務所はその権利をメンバーに譲るべき」という考えにも一理あるでしょう。

商標は、その商標を広める努力をした人が所有すべきという考え方は人の気持ちとしても法律的にも正しいと思います。

もし、SMAPのメンバーがSMAPという言葉を思いついただけでSMAPとしてなんの活動もしていなかったのなら、SMAPという商標を使わせろという主張に正当性はありません。

同じように、ただの名付け親が商標権を主張することに正当性は無いでしょう。

 

しかし、SMAPのメンバーは長年に渡り、SMAPという商標を使用し続け、業務上の信用(これは商標法で使われる言葉です)を築き上げました。

 

したがって、SMAPメンバーにはSMAPを名乗る資格があります。
SMAPが商標権を買い取りたいと言ったなら、それに応じるというのも経営判断として良いと思います。

「最初に商標を取ったのはジャニーズ事務所だから」という理由でSMAPとして活動をしてきた人たちにSMAPという名称を使わせないのは、商標法云々というよりも、「モラル」として、ファンの感情を逆撫でする行為でしかありませんから。

SMAPがSMAP商標を獲得する方法

 

SMAPの商標のうち、「演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏」の存続期間は2025年5月31日までです。

この期間が経過してから商標登録出願をするという方法はありますが、ジャニーズ事務所は当然商標権を更新するでしょうから、普通に考えると2025年を過ぎればSMAP商標はSMAPに渡るということはまずありえません。

 

したがって、商標権の存続期間の満了を待つことは無意味です。

 

では、他に手段はないのか?

 

あります。

 

不使用取消審判を請求します。

 

この不使用取消審判とはどのようなものか簡潔に述べると、「使っていない商標を取り消すことができる」というものです。

 

「使っていない」という要件を満たすためには、最低3年以上SMAPという商標を使っていない必要があります。

 

ジャニーズ事務所がSMAPという商標を3年間使わなければ、取り消すことができるのです。

 

もしかしたら2019年の終わり頃〜2020年辺りにジャニーズ事務所によるSMAPの登録商標を取り消すことができるかもしれません。

 

ファンはSMAPという言葉を使えないのか

SMAPの元メンバーは、ジャニーズ事務所と何らかの契約を結んでいる可能性があり、その契約によっては、元SMAPという称呼すら使えない可能性があります。

 

しかし、ファンはSMAPという名称を自由に発言することができます。ジャニーズ事務所と何らの契約も結んでいないのですから。

SNS上などでは、ファンはSMAPという言葉を使うことさえ許されないという発言を見かけることもあるかと思いますが、杞憂です。

ファンはSMAPという言葉を自由に発言することができます。

許されないのは、SMAPという言葉を付した商品を販売したりサービスを展開することだけです。

 

ですから、SNS上で「SMAPの香取君大好き!」と発言したり、テレビでインタビューを求められたときに「SMAPの中居くんが好きです」というのは何の問題もありません。

「SMAPの稲垣吾郎のようになりたい」とか「スマップの草なぎ剛っていいな」とか「SMAPの木村拓哉は俺の次にイケメンだな」という発言も当然に許されます。
(最後の発言は、キムタクファンを怒らせるので許されないという見方もありますが、少なくとも商標法的に問題はありません。)

新聞やテレビでSMAPという言葉を使えないのか

新聞やテレビではSMAPという言葉を使わないように自粛している動きもあるようです。

これは、商標法や知的財産権法がどうのこうのというよりも、テレビ局や新聞社がクレームなどを恐れているからです。
法的に問題は無いのですから、勇気を出してSMAPという言葉を使ったほうが、ファンが喜び、結果として新聞社やテレビ局が好かれることになると思います。

そこを「知的財産権の問題となるので・・・」と誤魔化すことはファンに対して誠実ではありません。

 

中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾という名前も使えないのか

スマップの元メンバーの個人名については、その個人が使うことに何の制約もありません。ジャニーズ事務所も名前について商標登録を受けていません。

 

まとめ

SMAPファンがSMAPという言葉を口にすることには何の問題もありません。
また、テレビ局や新聞紙上でSMAPという言葉を商標的使用にならない範囲で使うことにも何の問題もありません。

 

であるならば、SMAPというメンバー名を忘れられないようにするためにも、ファンは積極的にSMAPという言葉を発言し、人々の心のなかにSMAPを焼き付けるべきなのではないでしょうか。

 

もちろん「新しい地図」なども良いのですが、著名性という観点からはSMAPという名称にはとても敵わないので、やはり、SMAPの◯◯君であってほしいと思うのがファン心理だと思うのです。
 
追記;この記事を書いたすぐ後に、ベストライセンスの上田育弘さんから久しぶりにコメントをいただいたので、「SMAP商標を取ってください」とお願いしてみました。不使用取消審判を利用して使われない商標を消すというビジネス(?)も面白いと思ったからです。