弁理士試験短答式試験で受験生が苦手とすることが多い準用条文【商標法】

弁理士試験短答式試験で受験生が苦手とすることが多い準用条文についての解説です。
丁寧に読み込めば難しくはないのでぜひ腰を据えてじっくりと読み込んでください。
今日は商標法55条の2及び同56条をとりあげてみます。

まず商標法55条の2についてです。

拒絶査定に対する審判における特則
第五十五条の二 第十五条の二及び第十五条の三の規定は、第四十四条第一項の審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。
2 第十六条の規定は、第四十四条第一項の審判の請求を理由があるとする場合に準用する。ただし、第五十六条第一項において準用する特許法第百六十条第一項の規定によりさらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない。
3 第十六条の二及び意匠法第十七条の三の規定は、第四十四条第一項の審判に準用する。この場合において、第十六条の二第三項及び同法第十七条の三第一項中「三月」とあるのは「三十日」と、第十六条の二第四項中「第四十五条第一項の審判を請求したとき」とあるのは「第六十三条第一項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。

第1項は商標法15条の2と15条の3を準用しています。
(拒絶理由の通知)
第十五条の二 審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、商標登録出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
第十五条の三 審査官は、商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の商標又はこれに類似する商標であつて、その商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるときは、商標登録出願人に対し、当該他人の商標が商標登録されることにより当該商標登録出願が第十五条第一号に該当することとなる旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 前項の通知が既にされている場合であつて、当該他人の商標が商標登録されたときは、前条の通知をすることを要しない。

55条の2第2項では、商標法16条を準用しています。
(商標登録の査定)
第十六条 審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。

ただし、「さらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない」とあるので注意が必要です。

特許法 第百六十条 拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。

 

上記条文を頭に入れて以下の問題を解いてみましょう。

拒絶査定に対する審判において拒絶をすべき旨の査定を取り消すときは、審判官は、商標登録をすべき旨の審決をしなければならない。

 

答えは×ですね。査定を取り消すときは、更に審査に付すべき旨の審決をすることが出来ます。