特許査定を得るためには適式な特許出願書類を用意し、拒絶理由通知に対応したり補正をしたりと何か月~数年もの間、苦労しなければいけません。
そのため、初めて特許の査定を受けたときは有頂天になってしまうでしょう。

 

しかし、査定を受けたからと言って安心はできません。
まだやらなければいけないことは残っています。

 

1.特許査定後登録前

(1)特許料の納付
特許査定を受けただけではまだ特許権を手に入れたことにはなりません。
特許査定謄本の送達の日から30日以内に、出願人は第1年~3年までの各年分の特許料を納付しなければいけません。
この特許料の納付により、特許権が設定登録されます。

特許権が設定登録されると、特許証と特許公報の発行がされます。

特許権を失わないためにも年金は継続的に支払っていきましょう。

(2) 分割出願について検討
特許査定謄本送達の日から30日以内に分割出願ができます(特許法44条1項2号)。
分割出願のチャンスですので、明細書を見直してみてください。

2.特許権設定登録後

(1)特許異議申し立てへの対応
何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許異議の申立てをすることができることとされています(特許法113条)。

したがって、せっかく設定登録された権利も特許異議の申し立てにより取り消されてしまう可能性があります(特許法114条3項)。

これを避けるためにも意見書提出期間内に訂正をする必要があります(特許法125条の5)。

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(2) 訂正審判の請求
特許登録後においても特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができます(特許法126条)。

ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限られます。
一  特許請求の範囲の減縮
二  誤記又は誤訳の訂正
三  明瞭でない記載の釈明
四  他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

また、訂正審判は、特許異議の申立て又は特許無効審判が特許庁に係属した時からその決定又は審決(請求項ごとに申立て又は請求がされた場合にあつては、その全ての決定又は審決)が確定するまでの間は、請求することはできません。

訂正の請求の機会が与えられるためです。

 

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このほかにも、特許無効審判が請求され、その無効審決が確定してしまえば特許権は訴求消滅してしまいます(特許法125条)。

せっかく登録された特許権を失わないためにも適切な対応を心がけましょう。