
イーロン・マスク(電気自動車の会社、テスラのCEO)氏がテスラについてのトリビアをテレビや自身のTwitterで語っていました。
知財ブログとしては共有せずにはいられないのでお話したいと思います。
さて、私は先程「テスラ」と書きましたが、つい、「テスラ・モーターズ」と書いてしまい、慌てて消しました。
テスラと言えばテスラモーターズというくらい私の中では定着していたのですが、テスラの人たちはテスラ・モーターズという名前が好きではないそうです。
電気自動車の会社なんだし、いいじゃん。と思ってしまいそうですが、そうではないのですね。
ドメイン的にも商標的にも短く簡潔な方が効果的ですし、気持ちはわかります。
そうはいっても、テスラは、テスラのドメインと商標権を手に入れるために、とんでもない金額を費やしています。
その額、日本円にして12億円ほど。
凡人には、「なんでそこまでするの!?」としか思えないほどの額です。
テスラはかつてはteslamotors.comをドメイン名としていましたが、どうしてもtesla.comにしたいと考えました。そして、ドメイン名tesla.comを手に入れるために10年待ち、支払った金額は1100万ドル。
え、ちょっと信じられない・・・w
車にしか作っていないんだしmotorsが付いていてもえーやん。と思ってしまいますが・・・さすがですね。
会社名についてもすごいです。
元々、テスラという名称はブラッド・シーワート氏によって1994年に商標権が取得されていたのでこの名前は使えないかもしれないと思っていたそうです。
その場合はファラデー(Faraday)という代替案でやっていくつもりだったようです。
しかし、交渉の末、2014年に7万5千ドルで購入することができたのでファラデーではなく、テスラに決定したようです。
ちなみに、ファラデーという名前は後に競合社によって使われています。
こんなにお金を払うくらいなら、ニコラ・テスラよりもマイケル・ファラデーでいいではないか、と思ってしまいますが、その妥協の無さがイーロン・マスクの考えるブランドというものなのでしょうね。
Tesla history trivia: we didn’t actually come up with the Tesla Motors name. Bought trademark off Brad Siewert for $75k in late 2004. He’d originally filed for it in 1994. Our alternative name was Faraday, which was used by a competitor several years later. https://t.co/zPnrrVash1
— Elon Musk (@elonmusk) 2018年12月9日
それにしても驚いたのが、ドメイン名の金額の高さです。
商標権よりも圧倒的に高いやん!!
いわゆる中古ドメインと呼ばれるドメインが高額で売買されることがありますが、おそらくtesla.comの場合は、そのドメインについていたリンクが有効だということよりも商標権的観点からほしかったのでしょうね。
なお、今回の話を聞いて、「商標を先取り的に出願して儲けてやろう」とか「ドメイン名を先にとって高額で売買しよう」「今は使われなくなったドメインを買い取って権威があるふりをしてやろう」ということは考えないでください。
商標の先取り出願をすると、実名が晒され、負の歴史としてあなたの人生に生涯暗い影を落としますし(このブログではそんな人たちを何度も扱ってきました)、いわゆる中古ドメインの売買で従来備わっていた権威性を利用する行為も禁止されています。
凡人が思いつく「儲かりそうなアイデア」は法律で禁止されていることが多いので、手出しするのはやめておきましょう。
あ、そうそう書き忘れていましたが、Teslaはテズラと発音するそうです。
清音の方がカッコイイような気がしますが・・・。mazdaをドイツ語読みするみたいに。
まあ、ここら辺の感覚は人によって違うのかもしれません。
高輪ゲートウェイがかっこいいと思う人もいれば変と思う人もいるのですからね。
イーロン・マスク氏の功績に疑いようはありませんが「テスラ」というブランド名自体はご承知のとおり「ニコラ・テスラ」にあやかったものであり、日本の大衆的な感覚で言えば「パクリ」であるというのが面白いですね。
多額の投資をしてでも自分が「コレだ!」と思った道を進む。そのこだわりが同氏の強さなのでしょうね。
凡人としては、そのこだわりを見習いたいです。
いろいろと問題発言もあるようですが、やはりカリスマだなと思います。