2ヶ月前に大阪のゲームバーが著作権侵害が原因で閉鎖されることになったという記事を書きましたが、今度は兵庫や京都のゲームバーの経営者が逮捕されました。

以前記事を書いたときには知らなかったのですが、ゲーム業界団体(任天堂やカプコン等)は、ゲームバーに対し、何度も警告をしていたようです。

 

ゲームバーはそれをずっと無視し続けていたために、悪質な営業と見做されて逮捕されたということです。

 

 

さて、今回の記事では、著作権法の説明もしますが、私の個人的な考えを述べたいと思います。

 

まず、一般の人の感覚だと、別にゲームが出来るなら便利だからゲームバーくらい、いいんじゃないの、と思ってしまうと思います。

 

しかし、正式に許可を受けてゲームバーを経営していたか、無許諾でゲームバーを経営していたかは外部からはわからないために、利用者の感覚で考えてしまうと的はずれなことになってしまうので注意が必要です。

 

ゲームバーの経営者らは開店前に著作権について任天堂等に問い合わせをすることもなく、それどころか上映権の侵害であると何度警告を受けても無視し続け営業を続けてきたというのですから逮捕もやむを得ないでしょう。

 

なお、「花輪君には友達が100人いて、友達全員を家に招いてみんなでスプラトゥーンのゲーム大会をした」場合は、そもそも誰も花輪くんにお金を払っていないので、任天堂は花輪君に何の警告もしてきません。

 

あと、以前の記事で私は「公式がゲームバーをすればよいのに」と書いたのですが、たとえばカプコンは過去にカプコンバーを経営していましたし、現在ではモンハンバーがあります。

モンハンをやるだけなら、このバーに行くと世界にどっぷりはまれて良さそうですね。

 

もちろん、ゲームバーにはゲームの実況中継と似て、「ゲームの宣伝」的な面もあります。

 

したがって、事前に適切な権利処理さえしておけば、営業は続けられたでしょう。

 

たとえば、月々売上の○%を支払う、というような契約を結んでおけば、ゲーム業界団体とwin-winな関係を結べたはずです。

 

ゲームではなく、スポーツの中継を映すスポーツバーの場合は、家庭用の受信機を用いている限りでは著作権の侵害は起こりません。

ただし、テレビ番組を録画したり、大型プロジェクターを利用すると、著作隣接権の侵害となるので注意が必要です。
(もちろん権利処理さえしっかりしておけば大丈夫です)

 

 

ホテルでのゲーム機貸出については、ゲームバーと同じように過去には逮捕者が出ています。

 

 

法律を怖がってばかりいては新しいことはできなくなってしまいますが、事前に「どうにかして営業できないだろうか。もし法的に問題があったら解消するためにどうしたらよいだろうか」ということを専門家に相談するくらいはすべきです。

 

そうしたら、「ゲーム会社とライセンス契約を結ぶ」という案がすぐに出てきたはずです。

 

ゲームバーの儲けの構造は、「ゲームをプレイさせる」ことに依存しているので、権利者への著作権処理の問い合わせなく経営を開始したのは軽率だったといえるでしょう。

 

 

ゲームバーだけでなく、ゲームのアプリについても様々な知的財産権を侵害しているものが散見されます。

 

最近は誰でも手軽にゲームを作れるようになったので、このようなケースはどんどん増えると思われます。

 

基本的に、「他者の知的財産権を勝手に使って利益をあげることは、何らかの知的財産権の侵害になる」と考えて間違いありません。(たとえば、画像や音楽、文章だけでなく、店舗外観や内装のデザイン、etc…を真似るのは知的財産権の侵害になる。漫画のキャラクターの名前をゲームの題名にするのも危険。)

 

犯罪者にならないためにも、これからの時代、誰でも知的財産のイロハくらいは覚えておくべきです。

 

私の知財サイトでは著作権法の他にも様々な法律について簡単に説明しているので、「これって知的財産権の侵害になるのかな」と心配な人は、ぜひ御覧ください。

 

任天堂のスマッシュブラザーズスペシャルが発売されますし、「正式契約したゲームバー」の需要は高そうですね。