知財業界に人を呼び込む方法

弁理士試験の受験者数が年々減っています。
私が弁理士試験に合格した頃は受験者数は10000人を超えていましたが、2019年現在では受験者数は4000人程度です。

受験者数がこれだけ激減した理由は色々とあるでしょうが、受験者数が減ることによる弊害は弁理士の質の低下など種々あります。

さて、若手弁理士の人材不足により、特許事務所では新規の採用がうまくいかなくなっています。昔とは違い、ホームページや求人サイトの募集では、ほとんど採用できなくなったと特許事務所所長はよく仰います。人材紹介会社を介しての求人なら人数は集まりますが経費が重い負担となってのしかかります。
そのため、採用できたとしても、経費がかかり過ぎて結果として経営を圧迫し特許事務所の弱体化が起こり、明細書品質の劣化に繋がります。

明細書の質の低下は特許業界全体のために好ましいことではありません。

特に平成13年度に標準料金表が撤廃されてから明細書の大幅値下げを余儀なくされた事務所は一種のノルマ出願とでも呼ぶべき「魂のこもらないやっつけ仕事」をしています。
これは「質の高い仕事」と「質の低い仕事」の棲み分けとして考えれば悪いことではないでしょう。
しかし、悪貨が良貨を駆逐する状態に近づいていることも否めません。

このような特許業界の人材不足を解消するための方法は、「業界全体の活性化による人材の惹き付け」です。

一部の事務所だけが他者を打ち負かし上に立つのではなく、全ての人材を必要としている特許事務所が太陽の光を求めるように一斉に伸びるのです。

単なる「競争関係」ではなく、ライバルでありながらも共に業界を活性化するために健全な競業を行います。

自然の摂理と同じく十分に上に伸びず太陽の光を得られなかった草木は枯れてしまうでしょう。しかし、それは適者が生存するという自然のルールであり人為的に他者に攻撃を加えるよりも健全であると考えます。

 

「業界全体の活性化による人材の惹き付け」に寄与すると考えられる方法は、皆で業界に人を呼び込むためにイベントを行うことと無料の求人サイトを立ち上げることです。

イベントについては私は友人らと共に細々と行ってきましたし、様々なイベントに取り組んでいる特許事務所様もいらっしゃいます。

求人サイトについては早速作ってみました。
企業知財と特許事務所は完全無料で使えますのでどうぞお使いください。

無料の知財求人サイト『IP9(アイピーキュー)

求人サイトに掲載したからといって確実に人材を採用出来るわけではありませんが、少なくとも「採用できるかどうかわからない不安定な状態」での支払いをゼロにすることにより経費の圧迫を防げます。

このサイトの特徴は「成功報酬もゼロ」であることです。

掲載だけなら無料で成功報酬を徴収する求人サイトはありますが、このサイトでは成功報酬も徴収しないので、特許事務所経営に全く負担となりません。
ただし「とりあえず載せておく」のを防ぐために一定期間経過後に更新を行ってもらうことにしています。不要な情報を排除し常にフレッシュな情報を載せるためです。

 

また、この求人サイトと同時に知財人材スカウトサイトも作りました。
こちらでは経歴に自信のある方や若いポテンシャルのある未経験者に登録していただいております。
スカウトをすることにより、転職エージェントを使うときのような採用コストを必要としないで優秀な人材を採用できますし、求職者としても、最も待遇の良い特許事務所を選ぶことが出来ます。
健全な競争(=人材を惹きつけるために給与アップや待遇アップなどの経営者側の努力)が行われることによりwin-winの関係を築くことが出来ます。
特に自分を高く評価してくれる事務所を探している弁理士さんたちにはたくさんの声がかかることにより、優秀な人材はより良い条件で仕事をすることができるようになります。

弁理士に定年は無く、ずっと明細書を書き続けることができます。
ただし、明細書作成には多大な集中力が必要なことから、誇りを持って仕事を続けられるだけの高い報酬も必要と考えています。

優秀な弁理士さんにより高い年俸・好待遇を示してくれる特許事務所が更に繁栄することを望みます。

これらのサイトが知財業界に人を呼び込む助けになればと思います。

そして、私は相変わらず知財業界での夢を語り続け、カッコいい弁理士さんをご紹介していけたらと思います。