少子高齢化で地方が衰退しています。そこで、「地域を活性化するために宣伝をしよう!特産品を創ろう!ゆるキャラを創ろう!」と考えると思いますが、短絡的な思いつきで行動をすると予算を無駄に浪費するだけです。
「移住してもらいたいのか」「観光に来て欲しいのか」で取るべき方法も変わってきます。
ここでは、まず「観光客」向けの話をしてみようと思います。
限られた予算のなかで観光客に効果的にPRするために、「すべきこと」より、「しない方がいいこと」をあげてみます。
まず第一が、「特産品創り」と「ゆるキャラ創り」です。
特産品がなくてどうすんだ!と突っ込まれそうですが、「ゼロから創る」のを反対しているだけです。
なぜなら、ゼロから創り始めるのは時間とお金がかかりすぎます。
特産品もゆるキャラも知財であり、観光の大きな目玉です。
ですから、あったほうがいいのですが、「知財を創作」するのには時間とお金がかかるので、得策ではありません。
そこで、知財を創作するのではなく、既にあるものを「発見」することをお勧めしたいと思います。
よく、ブランドの海賊品だとか、パクリ商品だとかが出回っていますが、なぜそんなものを販売するのかというと、自分が知財を創作しなくても既に存在する名声にフリーライド(ただ乗り)して容易に儲けることができるからです。
そして、模倣された方は、多大なる時間とお金をかけて知財を創出していますので、特許法や商標法、意匠法、不正競争防止法といった法律の力を借りて、そのような不正行為をやめさせようとします。
このように、「知財の創作」には非常に時間とお金がかかります。
一方、ものまねは簡単です。良さそうなものを「発見」して真似をすれば良いだけだからです。
特産品についても、ゼロから創作することは大変です。
しかし、既にその地域にある特産品を「発見」すればお金も時間もかかりません。
しかも、下手に知恵を絞って創りあげた特産品よりも、その地域に昔からある特産品の方が歴史を感じ、効果的にアピール出来ることも多いでしょう。
模倣品を創るのとは違って、「パクリだ」と言われることもありませんし。
(他県で人気のある特産品を真似て創作するのは目の肥えた需要者から白い目で見られるのでマイナスです)
地元の人にとっては当たり前すぎて外部の人にアピールできるとは思えないようなものでも素晴らしいおみやげになったりします。
観光客や外部の人に感想をもらって、その特産品の良さを全面に押し出した魅力的な商品作りが出来れば、短期に特産品を販売出来ます。
またゆるキャラについても既に存在するのなら活躍してもらってもいいのですが、明確な戦略もなくとりあえず創ろうという程度なら創らない方がいいです。
Twitterでつまらないつぶやきを義務的にしているゆるキャラほど痛々しいものはないので・・・。
さて、今度は移住して欲しい場合に取らない方がいい方法についてです。
低予算で効果的に地域をPRするためには、Youtube動画を作成したり、面白いポスターを創るといったことが考えられると思います。
このときに注意したいのが、移住する人を求める場合は、過度に面白すぎる宣伝じゃない方がいいのではないかということです。
私も夫も老後は地方に住みたいと思っているので地方の情報は今のうちからいろいろ集めているのですが、本気で移住を考えているときに、面白い動画に出会うと、「楽しそう!・・・でも観光にはいいけど住みたくはないかな・・・」と思ってしまいます。
もちろんその動画がツボにはまって「絶対にここに住みたい!」と思う人もたくさんいると思います。
でも、私自身は、老後に「面白い」所に住みたくはないのです。
自然が豊かでのんびり安心出来る所に住みたいのです。
では、私のように考える人に突き刺さるものは何でしょうか。
それは、「無い」ことではないかと思います。
田舎町には「騒音」がありません。「深夜でも光っているネオン」がありません。
これは、大きな魅力です。
「ここには何もない。
でも、無いがある」
というわけのわからないコピーで「住みたい」と思う人がいると思うのです(私のことですが・・・)。
車が無ければ行きていけないような田舎なら、この町に住めば車を持つ人に有利になるというようなことをアピールしてもいいと思います。
ところで、少し話はずれますが、伝統工芸品のような衰退産業についても、「既にあるもの」なので、光を当てる角度さえ変えれば、人々の興味を惹くことが出来ると思います。
例として着物をあげてみましょう。
現代では着物は特別な時に着る物で、普段から着物を着る人はいません。
普段着として着物を着る文化はもう無いからです。
でも、もう一度着物を着る文化を創りだしたり新しいタイプの着物を創り出せば、性別や年代を問わず需要を生み出せると思います。
着物で面白いアプローチをしているなと思ったのが、X-JapanのYOSHIKIさんです。
YoshikiさんはYOSHIKIMONOというブランド(早く商標をとってほしいです。心配)を立ち上げて世界に向けてアピールしています。
(ちなみに今月末に東京青山でイベントがある模様)
*この記事も旧ブログのものです。実際に書かれたのは3年ほど前です。
YOSHIKIさんが呉服屋の息子さんだから思いついたらしいのですが、日本の伝統文化とロックが融合して見事です。
どんなファッションかというと、伝統的な着物を愛する人からは顰蹙を買いそうな過激なファッションです。
胸が開いていて肩まではだけ、ミニスカ状態です。
頭には長い簪が突き刺さっています(笑)。
ただ、確かに伝統的な着方とは違うけど、そんなに抵抗感は受けないなと思いました。
なぜなら、ゲームやアニメの世界で一歩先を行ったファッションを見慣れているからです。
FFⅩのユウナのように、着物を着崩したコスプレ的な着方です。
コスプレの世界では、NARUTOブームなどもあり、忍者の忍び装束や着物などのエキゾチックな感じが受けて海外では大人気です。
このように、コスプレ界のファッションは時代の2歩も3歩も先を行っています。
ゲームの中やアニメの中では伝統的な着物の概念を打ち破り、エロさや可愛さに焦点を当てた着方をしています。
着付けやマナーなんてどこ吹く風です。
着物の良さは見えそうで見えないチラリズムだ!という主張は取り敢えずおいといて(笑)、「実際に求められているもの、流行っているもの」に目を向けてみると新たな発見があるのではないでしょうか。
着物だけでなく、日本には伝統工芸品のように「過去の遺物」のような存在がたくさんあります。
それらは「既に衰退した」と思われていますが見方を変えれば非常に魅力的です。
地方の活性化のためにも、衰退したかに見えるものにももう一度スポットライトを当てて、知財の再利用を図ってみてはいかがでしょうか。