グーはチョキに勝ち、パーに負ける。チョキはパーに勝ち、グーに負ける。パーはグーに勝ち、チョキに負ける・・・
これは、知らない人を探すのが難しいくらい有名な「じゃんけん」というゲームのルールです。
非常に単純ですが、単純だからこそ場所や時間を問わず使えるお手軽なゲームです。
ジャンケンが日本にまだ無いと仮定してこのジャンケンのルールの特許を取れるでしょうか?
もちろん取れるわけありません。
では、もう少し複雑なゲームのルールだったらどうでしょうか?
それでも特許は取れません。
ゲームのルールというものは人為的な取り決めに過ぎません。
特許法に規定される「発明」=自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう(特許法第2条1項)に該当しないので、発明ではないゲームのルールでは特許は取れないのです。
でもゲームのルールの特許を見たことがある?
う〜ん、それはゲームのルールで特許を取ったわけではなくて、ゲーム装置だとかゲームプログラムで特許を取ったのでしょう。
たとえば、株式会社スクウェア(スクウェア・エニックス)による有名な「ゲーム装置、ゲーム制御方法およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の特許が存在します。
これは、いわゆる召喚魔法の特許として知られています。
魔法を唱えると召喚獣を呼べるというルールについて特許が与えられたわけではありません。ゲーム装置の発明です。
どうでも良いことですが、パックンフラワーみたいなモンスターと、スターウォーズみたいなキャラクターとイフリートではなくイーフリートという表記とブラザースという謎の召喚魔法(マリオとルイージを呼べる?)から目が離せませんね。
あと、更にどうでもいいことですが、FFの召喚魔法って戦闘中に召喚獣を呼び出すだけなので、攻撃系に限って言えば、黒魔法と殆ど変わりません。
一方、メガテン(ペルソナではなく)の場合は、戦闘以外の場でも仲魔を召喚したままにしておけるので、回復魔法などを使わせることができます。これもすごい発明(法律上の用語では無く一般用語としての)だと思います。
同じようにコナミ株式会社さんも「ゲ―ムシステムおよびコンピュ―タ読み取り可能な記憶媒体」の特許を取得しています。
これはいわゆるタイミングゲームの特許ですが、同じようにゲームのルールに対して特許が与えられたわけではありません。
では、新しくゲームのルールを生み出した人は何らかの知的財産権でそのアイデアを保護してもらうことはできないのでしょうか?
方法論としては、間接的に特許で保護してもらうということができます。
直接的にゲームのルールで特許を取ることはできないのですが、間接的に保護すればいいのです。
あとは、様々な知的財産権を組み合わせて保護を強化していきます。
でも、著作権登録はしないほうがいいでしょう。
昔から知的財産権を知らない人に「著作権で権利を守りましょう」と声をかけ、無駄に登録料を払わせるという著作権登録詐欺が横行しています。
特許をとるには100万円近いお金がかかるらしいし、著作権登録なら安いから・・・といって無意味なものにお金を出すほど悲しいことはありません。
著作権登録をしましょうと声をかけてきた人のことは詐欺師として通報しておきましょう。
残念ながら、特許権も商標権も持っていないのに、「ゲームのルールの生みの親」というだけで、同じゲームのルールを使って商売にしている人に対して「特許権の侵害だ!」ということはできません。
気持ち的にはわかりますが、権利でないものに基づいて権利行使をするということはできません。
著作権なら登録されなくても自動で発生するから権利行使できるだろうと思われるかもしれませんが、画像などのようにはっきりと著作権侵害だといえないものについて権利行使をすることはできません。
ですから、関係ない人間が俺のゲームをパクっている!と思ったら、まずは専門家に相談してみるべきです。
すると、様々な事実がわかって驚愕することが多いでしょう。
人気のあるゲームほど、悪意のある第三者によって権利が勝手に取られていることが多いといえます。
アイデアを最初に思いついた人は、どうしても自分が最初に考えたんだ!と主張したくなってしまうと思います。
その気持は非常によくわかりますし、尊重されるべきだと思います。
しかし、知的財産権でゲームのルールを守るということは相当困難なので、法律の範囲内で自己の名声を保持するために早い段階で専門家の協力を得たほうが良いといえるでしょう。
特許権等をとらずに・・・となると、別の権利に基づいて権利行使をすることになります。
いろいろと面倒なことになるので、できるだけ早い段階で専門家に相談することが怪我を広げなくなるので好ましいと思います。
ゲームは面白いものであればあるほどあっという間に広がります。類似品もすぐに出回ります。
だからこそ早い段階で「どうやってビジネスにするか」という視点で考えることが大事です。
「ゲームの生みの親を尊重しないなんて倫理的にダメだ。」と主張するだけでは駄目なんです。
いくら「ゲームの生みの親を尊重しろ」といったって、そのゲームで遊ぶ子供たちにとっては親の顔も名前もどうでもいいことですから。
プレイヤーにとっては、「面白いものが正義」なんです。
それを念頭に置いて、自分の元へお金が回ってくる仕組みを作ることが大事です。
何の権利も持たないゲームのルールの生みの親が主張できるのは「原作者名を表記しろ!」くらいでしょうか・・・。
まあ、クレジット表記してもらえれば、名前が知られるのでお金は入らなくても気持ち的には納得できると思います。
事例は変わりますが、金魚電話ボックスの件も似たようなものだったのではないでしょうか。
電話ボックスに金魚を入れた作品「メッセージ」の創作者は、類似品に自分の名前を入れて欲しいと主張されていましたが、お金はいいから自分が生みの親だということを知られたいという気持ちからあのような主張をされたのだと思います。
(結果としてなぜか裁判沙汰になってしまいましたが・・・)
ゲームは累積的進歩という概念が薄く、後発のものが必ずしも優れているとは限らないのがせめてもの救いですね。
昔のゲームって今やっても結構面白かったりしますよね。画面の美しさなどでは確かに見劣りするのですが、ゲームとしての楽しさを考えると初期のファイナルファンタジーの方が楽しかったりしますし。電子音もワクワクします(笑)