昨日は訂正についての基礎論文問題を出しました。
今日は、昨日とは違って、得意な人の多い補償金請求権の基礎問題です。
気楽にどうぞ(^^

(1)補償金請求権の趣旨を述べよ

(2)補償金請求権を行使する際に警告を要件としたことの理由を述べよ。また、補正をした場合に再度の警告は必要か。

(3)補償金請求権の権利の性質を述べよ

(4)補償金請求権は独自に発明をした者に対しても請求できるか

(5)補償金請求権はいつまでも請求することができるか

(6)補償金請求権の消滅事由について述べよ

 

 

 

 

 

 

 

解答例

設問(1)について
出願公開に基づく補償金請求権とは、特許出願人が、出願公開等の後に特許出願に係る発明を業として実施した者に対し、一定条件下でいわゆる実施料相当額の補償金の支払いを請求し得る権利をいう(特許法65条、184条の10)。
特許法は、発明の公開や公表が遅れることによる重複研究等の弊害を除去すべく、出願日から1年6月経過後にその出願の内容を公表する出願公開制度を採用している(64条)。しかし、このように出願の内容が公表されれば、その発明を第三者が実施することが可能になり、特許出願人が損失を受けるおそれを生じさせるものである。そこで特許法は、第三者に不当な不利益を与えない範囲内で第三者の実施による出願人の損失を填補すべく、出願公開に基づく補償金請求権を認めている(65条)のである。国際特許出願についても、同様に国際公開又は国内公表に基づき補償金請求権が認められる(184条の10)。

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設問(2)について
警告を要件としたのは、発行量の多い公開公報に対する調査義務を第三者に負わせるのは酷だからである。
なお、補正をした場合は権利の客体が変わり得ることから再度の補正が必要と解する。

設問(3)について
実施料相当額の補償金の支払いを請求できる債権的権利である。

設問(4)について
請求できる(65条1項)。出願公開に基づく出願人の損失を補てんさせるためである。
ただし、特許権の設定登録後に法定通常実施権者になり得る地位を有する者には請求できないと解する。特許権に対抗できるのに補償金請求権に対抗できないのは不合理だからである。

設問(5)について
補償金請求権はいつまでも請求できるわけではない。
特許権の設定登録の日から3年または特許権設定登録後に実施の事実及び実施者を知ったときは知った時から3年間権利行使しない場合には事項により消滅する(654条5項で準用民法724条)。不確定な状態を長期化させないためである。

設問(6)について
補償金請求権は出願の取り下げ、却下、放棄されたとき、拒絶査定または審決が確定したとき当には消滅する(65条4項)。特許権付与による保護を前提とするからである。また、時効によっても消滅する(同5項項)。                                 以上

 

解説
民法724条以外は条文レベルの簡単な問題です。これくらいはすらすら書けるようにしておきましょう。特許法の事例問題は難しいですからね!