一昔前と違い、最近の翻訳アプリは目を見張る進化を遂げました。

 

たとえば、ドコモの無料スマホアプリの「はなして翻訳」。

 

これは、スマホに向かって話すだけで、翻訳した言語で話をしてくれます。
これなら自分が話せない言語で話している人と容易に意思疎通をすることができます。

jplatpatより
jplatpatより

 

これと似たアプリとして株式会社ATR-Trek「しゃべって翻訳」(月額200円)というものが存在します。
こちらも内容はほぼ同じです。

 

・・・で、ここからが本題なのですが、この2つのアプリのサービス名って・・・、似ていませんか?

 

「話して」と「しゃべって」ですよ。

日本語ネイティブのあなた。話すとしゃべるの意味を厳密に、瞬時に言えますか?

 

speakとtalkとsayとtellの違いみたいで中学英語を思い出した?

そうですねw

 

内容も名前もそっくりなので、「ドコモの〜」とか「ATR-Trekの〜」というように会社名を一緒に言わないとどのアプリなのか混乱してしまいそうです。

 

でも、なぜこんなに似通った名前なのでしょう?

 

商標登録はされていないのでしょうか?

 

 

実は両者ともに商標登録されています。

 

ATR-Trekの「しゃべって翻訳」は平成19年(2007)10月30日に、ドコモの「はなして翻訳」は平成24年(2012)7月27日に商標登録出願されています。

 

ちょっと不思議なのが、サービスが同じなのになんでこんな似ている名前で登録できたのか、ということです。

(今、私はサラリと似ていると書きましたがこれについてはまたあとで書きます。)

 

その一番の理由としては、やはり、「指定役務の違い」が挙げられます。

 

ATR-Trekの「しゃべって翻訳」の指定役務はごくわずかです。

 

それに比べて、ドコモの「はなして翻訳」の方は、しゃべって翻訳の指定役務と微妙にズラしつつ、たくさんの役務で商標登録しています。

 

 

いやー、上手くやったね。

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違法性なんて何もないし、商標テクニックの一つです。

ドコモさん、お見事!

 

 

・・・でも、「先に」商標を出したATR-Trekの「しゃべって翻訳」の気持ちになったら、ちょっと悔しいですよね。

 

こっちが先なのに後からなんだよ!邪魔すんなよ!と思ってしまうでしょう。

 

 

では、ATR-Trekさんはドコモさんに対していちゃもんをつけられるのでしょうか?

 

これについては、「しゃべって翻訳の知名度によっては、もしかしたら可能だったかも?」と思っています。

 

「いやいや、称呼と外観が違うからww」という声が聞こえてきそうですが・・・。

 

観念が同じと思いませんか?

 

 

ここで最近の商標登録の審決取消訴訟についてお話してみたいのですが、最近は、「周知商標の保護強化」「観念の同一を重視」という傾向が伺えます。

 

たとえば、著名商標であるMacやExcelを商標中に含んだ商標登録が取り消されています。

 

また、Fujiという商標登録出願が先願登録商標FUJIの存在を理由に(商標法第4条第1項第11号違反)拒絶されたのですが、原査定が取り消され、商標が登録されています。(不服2017-12293)

 

理由は、引用商標とは、称呼において「フジ」の称呼を共通にするとしても、観念において比較することができず、外観において明確に区別できるものであるためとされています。
(「FuJi」の文字部分は、「富士」、「藤」又は「不二」等の語を連想、想起させる場合があるものの、特定の観念を生じるとまではいえない)

 

そんなわけで、「本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。」とされています。

 

そこで「はなして翻訳」の話に戻りたいのですが、「はなして」と「しゃべって」は観念としては類似だと思います。

だから、称呼は違っても、「しゃべって翻訳」が著名だったら、「観念類似により登録取消!」の可能性は無きにしもあらず・・・と思ってしまったわけです。

 

まあ、そこで「はなして」には「話して」の他にも「離して」「花して」「放して」など様々な語を連想・想起させるので特定の観念を生じるとまでは言えないと言われる可能性もありますし、9割無理そうなのですがw

 

・・・というか、その可能性も考えてわざと「話して」ではなく「はなして」にしたのでしょうか?

 

だとしたら、どんだけ先読んでるの!!ww