新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策とオープンイノベーション

4月に入ってから、国内外のさまざまな企業と組織が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対抗策として、特許などの知的財産を無償提供すると宣言しました。

海外の知的財産権の無償開放運動は「Open COVID Pledge」と呼ばれ、AmazonやIBM、、Microsoft、Uberなどなどが参加しています。

日本の知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言では、この感染症の蔓延をくい止めるためには、業界の垣根を越えた、治療薬、ワクチン、医療機器、感染防止製品等の開発および製造を、産官学が連携し、従来の常識や固定観念にとらわれないスピードで進める必要があるとしています。

期間は、世界保健機関(WHO)がCOVID-19蔓延の終結宣言を行う日まで。
表現がかっこいいですね!

もし特許権、意匠権、ソフトウエアプログラムの著作権その他の知的財産権が、これらの開発および製造の障害となるのであれば、権利者が保有する知的財産権の権利行使を行わない事を宣言することが、迅速かつ最善の開発および製造を可能とし、また倫理的にも必要であると考えます。

したがって、宣言に同意した企業・組織では、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、封じ込めおよび治療をはじめとする、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を目的とした行為に対しては、一切の対価や補償を求めることなく、保有する特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を一定期間行なわないこととなります。

ここで注意したいのは、商標権と営業秘密は含まれていないので、商標権や営業秘密を勝手に使ってはいけません

くれぐれも「シャープでマスクを生産したからそれを真似して、Canonと付けたマスクを販売するぞ!」なんてお考えにならないように・・・。
しっかりと防護標章登録されておりますので。

 

なお、東京工業大学は、独自に「社会再起動技術推進事業(Social Rebooting Technology Initiative)」を立ち上げました。その第一弾の活動として、保有特許131件を一定期間、無償で開放する「お役に立てれば(Hope to This Helps : HTH )プロジェクト」を開始しました。

これらの131件の特許は、COVID-19感染拡大以前に取得されたものであり、直接COVID-19対策のために開発されたものではないが、例えば、プラズマを活用した包装容器の殺菌技術、膨大なプレゼンテーション資料に対して利用者に検索結果を効率的に提供するe-ラーニング(遠隔学習システム)技術、要介護者及び介護者を支援するためのロボット技術などを含んでいるとのことです。

テイクアウトに使える斬新なエコ&清潔で繰り返し使える容器や日本発祥の高性能Zoomなどが生まれるかもしれませんね。

なお、無償とはいえ、申込みが必要ですのでお気をつけ下さい。

法人だけでなく個人でも申込み出来ますよ。

また、東工大のCOVID-19関連事業に対する特許の無償開放の申込期間は2020年5月1日 – 2021年2月28日、無償期間は最長で2022年12月31日までですのでその点もお気をつけ下さい。

詳しい内容やお問い合わせ先は上記リンク先を御覧ください。